影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
優しいコメントは大歓迎です。
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12.孤独
 樅の木の梢を 一そよぎの弱い風が吹くとき
一すじの濁った雲が 晴れた大気のなかに流れてゆくように

私はわが街を 疲れた足どりをして 明るい愉快な生の間をすり抜けて
ひとり孤独に 挨拶もしないで歩いてゆく

ああ 大気は こんなにも静かだ
ああ この世は こんなにも明るい
しかし まだ嵐が吹きすさんでいたときには
私は こんなに惨めではなかったのに


青年の心の内は複雑ですね
若さというのは、一方的に落ち込むだけではなく、その孤独な心にも明るい光も、爽やかな風も吹いてくるんですね
若いって良いですね
  
11、春の夢
 私は 色とりどりの花が 五月にきれいに花咲くのを夢に見た
縁なす野原を夢に見 陽気な小鳥の叫びを 夢に見た

けれども おんどりが ときを告げたとき 私は眼を覚めた
すると あたりは 冷たく 薄暗くて からすが 屋根から 鳴いているのだった

だが、窓ガラスに 木の葉を 描いたりしたのは 誰なのだろう
お前たちは 冬の最中に 花を夢見る夢想家を あるいは笑うだろうか

私は 次から次と 愛のことを 夢に見た ある美しい娘のことを
心を口づけを 歓喜を浄福を 夢に見た

けれども あんどりが つきを告げたとき 私の心は目を覚ました
すると 私はここにたった一人で 坐っていて
あの夢を 思いかえしているのだった

私はもう一度眼を閉じている
まだ胸は熱く打ち続けている いつになったらお前たち
窓辺の木の葉は緑になるのだろう
いつになったら私は恋人を 腕のなかに抱けるのだろう


まだまだ未練を続いていますね
青年の心の中では、恋人はどんどん美化されているのとちゃいますか
思い出は美しくて、夢の中のあなたは、素敵だ。
しっかりしてくださいよ、と言いたくなりますね
10、憩い
 今はじめて 私は どんなに疲れているのかを知った

さあ横たわって憩おう 荒涼とした道の上でも さすらうことが私を元気づけて
くれたのだった

両足は 憩いなど 訊ねようともしなかった 立ち止ったのでは 寒さは
身に沁みるほどだった
背中は 何の重荷も感じなかった
嵐の勢いをかりて 私は飛ぶように歩きつづけた

とある炭焼きの狭い小屋のなかに
私は憩いの宿を見出した
しかし私の手足は休もうともしない
そんなにも熱く 手足の傷は燃えている

私の心よ お前もまた かくも激しく かくも雄々しく 戦いと嵐のなかにいるのに
今 静かに憩うとき はじめて
お前の傷の痛みがうずいて 熱くちくちくと 刺すのを感じるのだ


体と心は、バラバラになっていますね
何を焦っているのでしょうね
  

終着駅殺人事件
 西村京太郎    光文社文庫 


刊行が、1981年。まだまだ集団就職とかの記憶が生々しい感じだった時代に作られた話ですね。青森から上京した男女7人をめぐる話なんですね。
トリックは、込み入ってますけど、それは様々な列車がまだ走っていたことが重要ですよね、新幹線が走ってしまったら、多様性という観点からも、殺人事件を作るのは、困難になるのでしょうか。

この話の殺人の動機とかは、やっぱり、そんなことで殺していあたら、世の中殺伐としてしまいますということでしょうか。
十津川警部よりも亀井刑事が活躍した話でありますね

9、鬼火
 たいそう深い岩の谷間へ 鬼火が一つ私を誘い出した
どうやって 見つけたらよいのか
そんなことは 私には あまり気にならない

さ迷い歩くことに 私は鳴れているし どんな道でも 実際 目的地には
達するものだ
われわれの喜びも われわれの悩みも
すべては 鬼火の戯れなのだ

山川の干上がった河床を 
私は心しずかに 曲がりつねりつつ下りてゆく

どんな川も海に達するのだ
どんな悩みも やはり墓場に通じているのだ


ここで、漸く因縁の町を離れて旅に出てますね
路中、鬼火が、それは幻なのか、
墓場という言葉が、出ていますが、西洋でま墓場に死者の魂があると考えるのかな
8、顧みて
 たとえ 氷と雪を踏んでいても 私の足裏は 燃えるようだ
あの町の塔が もう見えなくなるまで 私は二度と 息をつこうとは思わない

私は 石という石に 突き当たりながらも 急ぎに急いで 町から立ち去っていった
からすたちは どの家からも 私の帽子の上に 雪片やあられを 投げつけた

何とお前は 以前とは違ったふうに 私を迎え入れるのだ 不実な町よ
あのときは、お前の白く輝く窓辺に雲雀とうぐいすが、競い合って歌っていたのだった

まるい菩提樹の木は 花咲き 澄んだ川の流れは 明るくざわめいていた
それに ああ あの娘の二つの瞳も燃えていたのに
だが 友よ もうお前は 破産なのだ

あの日の想いが 心のなかに よもがえるならば
もう一度 私はふりかえって見たい
一度だけ また過ぎた日へと よろめき帰って
彼女の家の前に じっと佇んでみたいものを 


この青年は、まだ彼女に未練たらたらです。
今度は、町そのものにやつ当たってます
失恋の痛みは、本当に深く深く。泥沼なのだ。
あんたの心象風景は、どこまで荒んでいるんだ、

果たして青年は、立ち直れるのか 
寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
 島田荘司     光文社文庫


鉄道ミステリには、西村先生以外にもどんなものがあるのだろうということで。今回は島田先生の本を読んで見ました

この本は、トリックがどうこうというよりも、被害者、その家族、他めぐる人々の愛憎劇でしたね。
吉敷刑事は、煩悶し、こつこつと事実うを積み重ねがら真相に辿りついて行く姿は、素晴らしいと思いました

トリックそのものは、それほどのもんじゃないのかなあ
7.川に在りて
 そんなにも愉快そうに ざわめいていたお前 明るいたけりたぎった小川よ
何と お前は 静かになってしまったのだろう。
別れの挨拶もくれないで

硬い こちこちの樹皮のような氷で お前 身wp蔽ってしまったのだ
お前は、砂地のなかに 長々と伸びて 冷たく そして身動きもせず 横たわっている

お前の氷の蔽いの中に 私は 先の尖った石で
私の恋人の名前を彫りこんだ
それからあの時と あの日付とを彫りこんだ

それは はじめての挨拶の日付だ 私が 出かけていった あの日付だ
その名前と 数字のまわりに私は 一つの壊れた環を 描いた

わが心よ この小川のなかに お前は今自分の姿 認めないだろうか
小川が 今 蔽い氷の下でこんなにも はちきれそうに 膨れ上がっていないかどうか
認めないだろうか


この青年は、非常に未練たらしい人です。
恋人との思い出は、小川だけしか知っていないので、小川に語りかけているんですね
少しユーモラスですね
寝台特急殺人事件
 西村京太郎   光文社文庫


昨日に続いて鉄道ミステリーを読んでみた。
この初めて出版されたのは、昭和53年。今から30年以上前ですね
当時は、ブルートレインが全盛で、「富士」と」はやぶさ」が、鹿児島本線、日豊本線にそれぞれ別れて走っていたのですね。それで、トリックを使うこともあり。というのは、感慨深く感じますね
トリックのしかけは、けっこう大仕掛けだし、そこまでして殺人を行わなくてはいかんのか。というところは、疑問に思うのだけど、それを言ったら、この話は成立しませんね

当時から、カメラ小僧がせっせと列車を撮っていたというのも面白いもんですね、その小僧の子供も鉄オタになるんでしょうね
これは、遺伝子レベルでそうなんでしょうね
6、あふれる涙
 たくさんの涙が私の眼から 雪の中へ流れ落ちた
冷たい雪片は褐えて その熱い悲しみを吸い込んだ

草々が、芽を出そうとするころには あたりを 生温かい風が吹き
そして氷は、こなごなの塊に砕け やわらかい雪も 融けて流れるだろう

雪よ お前は 私の憧れを知っていよう 言ってくれ いったいお前の流れは
どこへ行くのだ、
ただ 私の涙にだけ ついて来てくれ
そうすれば すぐに 小川がお前を迎えてくれるだろう

小川とともに 陽気な通りを出たり 入ったりしながら
町を さすらい流れてゆくと
お前は 私の涙が 灼熱するのを感ずるだろう
その町には 私の恋人の家が あるのだ


再び涙です。
気がつくと、季節も春になり、青年の心に変化が。
自分が、連作詩で一番好きなところかも
同じシューベルトの連作歌集の「美しい水車故小屋」では、好きな色、嫌いな色と、同じ色緑が取り上げられておりまして、おりまして、そこに劇的効果があるのですが、ここの変化は、心のささいな動きの変化ですね。
春の風が、どこぞからもたらしてくれる。知らないうちに活気が蘇る。
そんなものですね。