影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
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村にて
 犬どもが吠え 鎖ががちゃがちゃ鳴いている 人々は ベッドのなかで眠っている
彼らは自分たちの手に入らない 多くのことを夢見て 良きにつけ 悪しきにつけ 元気を取り戻している

そして 朝があければ すべては 融けて 流れ去る
とは言え 彼らは 自分たちの分け前を楽しんだのだ
そして まだ自分たちの 手に入らないものを褥の上で やはり一度見出したいと
望んでいるのだ

目覚めている犬どもよ まあ私に向かって吠え続けるがよい
私を まどろみの時間のなかで 休ませないでくれ
私の すべての夢は終わってしまったのだ
どうして 眠っている人々のあいだで ぐずぐずする必要があるのだろうか


青年は、まだまだ、すねてますね
もう何がなんだか、分からなくなっているみたいです
16、いや果ての望み
 そこここの木々に たくさんの色づいた木の葉が見える
そして私は木々の前に思いに耽ったまま 佇むことがしばしばだ

一枚の葉を 私は見つめ その葉に私の希望をかける
風がその私の木の葉とたわむれるときには
私は震えられる限り 体が震えてくる

ああ 木の葉が地に落ちると それといっしょに 希望も落ちる
私自身も 大地に身をおとして 私の希望の墓の上で泣くのだ


ここでは、木の葉と自分を同一視。
はかない希望ですね。ふうっとため息
からす
 一羽のからすが あの町から ずっと私といっしょについて来た
今日まで たえずからすは 私の頭のまわりを飛び続けている

からすよ 気味の悪い動物よ あまえは私から去ろうとはしないのか
きっとここで私が死んだら扉を 獲物にして捉えようと思っているのだろう

ともあれ この旅路の杖にすがって行くのも もうそんなに遠いことはない
からすよ 最後に私に見せてくれ 墓場に至るまでの誠実というものを


からすって、西洋でも不気味な鳥なんですね
青年は、死の誘惑に囚われ続けていますね
14、霜おく髪
 霜が一筋の白い光を 私の髪の上に撒いた
そこで 私は 自分がもう老人になったと思って たいそう嬉しかった

けれども まもなく霜は融けて消え 再び私は黒髪になった
そうして まだ棺台まで どんなに遠いことかと
私は 自分の若さがおそろしかった

夕焼けから 朝の光までのあいだでも
多くの頭が白くなったものを 私が信じてくれよう こんな長い旅の途上にあるのに
私の髪は 白くならなかった


青年は、早く老いることを望んでいるみたいですね
この世の苦しみ、失恋の辛さから逃れるためなんでしょうか
髪が白くなったことが嬉しい。自虐的なんですが、心情は偽らざるそのままということなんですかね
逆説的に言えば、このことが若さそのものなんだと思うのですけどね
13、郵便
 通りの方から 郵便馬車のラッパが響く どうしたんだ そんなに高く
鳴ったりするとは 私の心よ

郵便馬車は お前の 手紙を運んで くるんじゃない
いったい何で お前は そんなに怪しく 切迫するんだ 私の心よ

なるほどそうだ 郵便馬車は 町から来るのだ
私の かわいい恋人のいる町からだ 私の心よ

お前は いつかきっと その町の方を見て
そこであの娘がどうしているか 訊ねたいのだろう 私の心よ


まだまだ、青年は、元恋人に未練たらたらです。
昔は、情報が少ないから、こうなってしまうのかしら
元恋人は、もう青年のことを、すっかり忘れてしまっていると思うのだけどねえ
12.孤独
 樅の木の梢を 一そよぎの弱い風が吹くとき
一すじの濁った雲が 晴れた大気のなかに流れてゆくように

私はわが街を 疲れた足どりをして 明るい愉快な生の間をすり抜けて
ひとり孤独に 挨拶もしないで歩いてゆく

ああ 大気は こんなにも静かだ
ああ この世は こんなにも明るい
しかし まだ嵐が吹きすさんでいたときには
私は こんなに惨めではなかったのに


青年の心の内は複雑ですね
若さというのは、一方的に落ち込むだけではなく、その孤独な心にも明るい光も、爽やかな風も吹いてくるんですね
若いって良いですね
  
11、春の夢
 私は 色とりどりの花が 五月にきれいに花咲くのを夢に見た
縁なす野原を夢に見 陽気な小鳥の叫びを 夢に見た

けれども おんどりが ときを告げたとき 私は眼を覚めた
すると あたりは 冷たく 薄暗くて からすが 屋根から 鳴いているのだった

だが、窓ガラスに 木の葉を 描いたりしたのは 誰なのだろう
お前たちは 冬の最中に 花を夢見る夢想家を あるいは笑うだろうか

私は 次から次と 愛のことを 夢に見た ある美しい娘のことを
心を口づけを 歓喜を浄福を 夢に見た

けれども あんどりが つきを告げたとき 私の心は目を覚ました
すると 私はここにたった一人で 坐っていて
あの夢を 思いかえしているのだった

私はもう一度眼を閉じている
まだ胸は熱く打ち続けている いつになったらお前たち
窓辺の木の葉は緑になるのだろう
いつになったら私は恋人を 腕のなかに抱けるのだろう


まだまだ未練を続いていますね
青年の心の中では、恋人はどんどん美化されているのとちゃいますか
思い出は美しくて、夢の中のあなたは、素敵だ。
しっかりしてくださいよ、と言いたくなりますね
10、憩い
 今はじめて 私は どんなに疲れているのかを知った

さあ横たわって憩おう 荒涼とした道の上でも さすらうことが私を元気づけて
くれたのだった

両足は 憩いなど 訊ねようともしなかった 立ち止ったのでは 寒さは
身に沁みるほどだった
背中は 何の重荷も感じなかった
嵐の勢いをかりて 私は飛ぶように歩きつづけた

とある炭焼きの狭い小屋のなかに
私は憩いの宿を見出した
しかし私の手足は休もうともしない
そんなにも熱く 手足の傷は燃えている

私の心よ お前もまた かくも激しく かくも雄々しく 戦いと嵐のなかにいるのに
今 静かに憩うとき はじめて
お前の傷の痛みがうずいて 熱くちくちくと 刺すのを感じるのだ


体と心は、バラバラになっていますね
何を焦っているのでしょうね
  

終着駅殺人事件
 西村京太郎    光文社文庫 


刊行が、1981年。まだまだ集団就職とかの記憶が生々しい感じだった時代に作られた話ですね。青森から上京した男女7人をめぐる話なんですね。
トリックは、込み入ってますけど、それは様々な列車がまだ走っていたことが重要ですよね、新幹線が走ってしまったら、多様性という観点からも、殺人事件を作るのは、困難になるのでしょうか。

この話の殺人の動機とかは、やっぱり、そんなことで殺していあたら、世の中殺伐としてしまいますということでしょうか。
十津川警部よりも亀井刑事が活躍した話でありますね

9、鬼火
 たいそう深い岩の谷間へ 鬼火が一つ私を誘い出した
どうやって 見つけたらよいのか
そんなことは 私には あまり気にならない

さ迷い歩くことに 私は鳴れているし どんな道でも 実際 目的地には
達するものだ
われわれの喜びも われわれの悩みも
すべては 鬼火の戯れなのだ

山川の干上がった河床を 
私は心しずかに 曲がりつねりつつ下りてゆく

どんな川も海に達するのだ
どんな悩みも やはり墓場に通じているのだ


ここで、漸く因縁の町を離れて旅に出てますね
路中、鬼火が、それは幻なのか、
墓場という言葉が、出ていますが、西洋でま墓場に死者の魂があると考えるのかな