スティーブ・ハミルトン 著 越前敏弥 訳 ハヤカワ文庫
この本は、最近買った「このミステリーがすごい」で今年の1位になっていたので、どんなものだろう思い、田舎の本屋でも平積みされており、試しに買ってみた
これは、大当たりでしたね
まあ。だいたい1位に押されているものは、面白いものが多いのですが、内容が濃く、それぞれ個人にとっても、マイン。自分だけの話と思わせるようなものは、それほど多くないのですが、この本は、そうなのかも知れないですね
主人公が、喋れない男の子であり、人一倍鋭い感受性を持っている天才解錠師。
その生い立ちが、特殊なので、そうであろうであろうと予想もできる話なんですが、個の独立というか、自律心が独特です
頑な。一言で言えばそうなんですが、その意味のバリエーションの豊かさというのが、この本の魅力なんだと思う。
自分で何を書いているのか分からないのですが、少年の価値観の捉え方、この本の作者の物の見方、人への接し方が、一般的なアメリカ人の伝統的な考え方からずれてきているような気がする。
マイケルに学校で心を寄せてくれる教師は、例えば
・
マーティーは特別ぼくに注目せずに通り過ぎた。ほかのたいがいの教師がするように、立ち止まっ
記憶に刻みこんだりしない。すでに自分のなかで受け流しているということだ。
更に、マイケルが裁判にかけられたとことでは
・
法体系というものがさまざまな規則の集合体だと思ったら、大まちがいだ。現実にはひと握りにの人間がのんきに話しあいながら、人をどう処分するかを決めている。決めたあとで、適用するのに必要な規則を引っ張り出す。その連中にきらわれたなら、お先真っ暗だ。
主人公のマイケルが心を寄せるヒロインの父親なんか、名と実がかけ離れたろくでないなんだけど、その父親も、名の部分では、アメリカの理想的な父親らしく描かれているのも興味深いところ
この本の読みどころは、沢山あるのですが、ネタばれになるので、余り書けないのがもどかしいところですね
自分も偶には、実のある本を読まないといけないと反省もしました