影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
優しいコメントは大歓迎です。
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疾風ガール
疾風ガール     誉田哲也     光文社文庫 


「武士道」シリーズは、自分のお気に入りのシリーズになったので、同じ作者の本も読んでみた。
この本も自分的には、大ヒットです。

内容は、無名の才能豊かな女の子が見出されることと、その豊過ぎる才能が巻き起こす事件を描いていました。

ストーリーは、事件が起こり、そこを軸に話が展開します。その顛末と結末は複雑ではないのですが、出てくる人物の描き分けが、くっきりできていているし、ヒロインの夏美さんが、魅力的なじゃじゃ馬なので、面白く読めましたね。
お弁当の歌の歌詞も書いて欲しいですよね。

端役の40代半ばの田舎ロッカーJ・Bさんの存在感は、どうなんでしょうか。眩しすぎます。
キャバクラ好きの芸能プロ専務の梶尾さんも魅力的だなあ。
キャバクラ嬢の塔子さんも魅力があるし、夏美さんの才能を見出し追いかける芸能プロの社員の宮原の彼女の千鶴さんも良い感じですね。
他、魅力的な男女がいろいろ出ております。
自分としては、J・Bさんに注目です。

・ いやーッ、いいなぁ、キマってたなぁ。ああいう中年になりてぇなぁ

J・Bさんに会った後の夏美さんの人物評。


・ つまり、出だしのメロディ、繋ぎのメロディ、サビにいく、その流れに秘密があるの。一番大切なのはサビ。その前のAメロBメロとは違うものが、サビには必要ってことよ。でもメロディのよさじゃない、そんな印象の問題じゃない。もっと数学的な、科学的なことなの

夏美さんの言葉。深いですね
シフト 世界はクリアを待っている 1
シフト 世界はクリアを待っている 1    うえお久光    電撃文庫


「悪魔のミカタ」のうえお先生のもう一つの大河シリーズを読んでみました。
「悪魔のミカタ」の方は、何がどうなっているのか、自分にはよく分からない状態なので、完結するまで放置しておこうなんて思っているのですが、こちらのシリーズはどうなのかな。

読み始めると、面白いですねえ。昨日読んだ「ゴールデンスランバー」よりも、個人的には楽しめました。後2冊あると思うと嬉しくなってしまいます。

内容は、夢の中の異世界に投げ出された、中高校生たちの、サバイバルな日々を描いたものなんでしょうけど、この巻で描いてる時点では、ある秩序は生まれているみたいです。

戦士系、魔法使い系、クリエーター系、そして主人公のラケルの怪物系と様々な種族が同居する世界が舞台です。
その世界とは、どういうものなのかという点を、説明する為の巻でもあったのですが、この巻の後半で大きく話は動きましたね。
排除されるべきものして怪物系の存在が、クローズアップされたみたいです。

主人公ラケルの新しい友人、古い友人。それぞれにも集った思惑はいろいろあるみたいだし、その世界に住民たちも、その現実の重みをそれぞれ背負って生きているみたいですね。
悪しきことを行うであろう者が多いことも、説得力があります。
予期せぬ力を与えられると、人というものは、それを悪用する生き物なんでしょうか

面白いですねえ。そして上手いですよね。
続けて2巻を読もうと思います。

自分の好き度は9ですね。

ゴールデンスランバー
 ゴールデンスランバー   伊坂孝太郎  
  新潮社


昨年度の本屋大賞を受賞した小説で、前から気になっていたものを読んでみた。

非常に技巧的な描かれ方をした作品なので、小説を読むことに馴れていない人は、さっぱり理解できない人もいるかも知れないものですね。

ここまで、あっちこっち過去と場所を飛びながら、話を進める必要はあるのかとも思うけど、作者の個性でもあるし、こういう展開と会話を望む人も多いのだろうから、これでいいと大半の人は思う出しょうけど。個人的に合わなかったと言えますね。

内容は、アメリカのケネディ大統領暗殺を下敷きにしたようなもので、首相暗殺の嫌疑をかけられた男の逃亡劇なんですけど、単純に逃げているだけではなく、ある方向へ導かれつつ追い込まれていくようです。
最初の方で、いろいろな事実を開示もされているので、事件の経緯を時系列で注意深く読むことをすれば、いろいろな発見はあります。
多層的な作りになっていますね。

ただ、その構築された世界にリアリティを感じるかは、読む者に任されていますと言えますわね。
自分は残念ながら、作りものぽっさを強く感じて、楽しめませんでした。

この作品も映画化されるらしいのですが、どうなんでしょうね。
映像化が難しい話とは言えますわね。
事実の覆い被せ方が複雑なんですが、ストーリーは単純とも言えますから、分かりやすく描いてしまうと、面白さもカタルシスも感じるのは困難になるかも知れないですね。
ローマ亡き後の地中海世界 上・下
ローマ亡き後の地中海世界 上・下   塩野七生   新潮社


「ローマ人の物語」の続編を読んでみた。
題名にローマとありますけど、上・下巻一貫してイスラム教徒の海賊との戦いを描いておりましたね。それも一千年の長きに渡ってね。

教科書では、中世のヨーロッパとイスラムの関係では、十字軍のことを扱って東ローマ帝国の滅亡のことを淡々と書いているだけですけど、実際の歴史では、名も無きキリスト教の庶民が、いたぶられ続けた日々ですね。
拉致され、鎖に繋がれ、浴場と言われた収容所に入れられ、死ぬまでこき使われる。
イスラム教でなければ、奴隷として扱っても構わないという態度は、徹底していますし、キリスト教国側も、イスラム教徒には非寛容です。キリスト教国内ではモスクも建てられないのですしね。
一神教同士のぶつかり合いの一千年ですね。


それにしても東ローマ帝国、ここではビザンチン帝国の存在感の無さには、ある意味びっくりしますね。
収税することのみ熱心なんですが、庶民に安全を保障する意識は全く欠如しているし、力をつけてきた神聖ローマ帝国皇帝もフランス王も、庶民の悲惨な実態には、無関心です。
塩野先生の筆致を、そういう現代の目からみたら、そして古代のローマ人たちからみたら、絶対放置しないであろうことを淡々を描いております。

上巻では、ノルマン人の建てたシチリア王国のキリスト教とイスラム教の共生に、大きく惹かれましたね。
学校では、教えられることの少ない(イングランドを征服したノルマン人のことは太枠事項ですが)この王国について、これからの世界の異民族同士の共生については、大きなヒントがありそうだし、もっと多くの人が知るべきでしょう。
歴史学自体の組み替えが必要かも知れないですね。

下巻では、スター海賊と言ってもいいくらいの、個性豊かなイスラム、トルコ帝国の海賊苦しめられる地中海諸国についての記述ですね。
本当に一進一退。キリスト教国側では、内紛ばかりしている間に、名も無き庶民は、悲惨な目に合っております。
神聖ローマ帝国皇帝憎しで、トルコ帝国と結んで、海賊の首領をフランス国内に招き入れたフランス王はダメですよね。
手段と目的がごちゃごちゃですね。
そういうごちゃごちゃした時代だったとも言えるのでしょうね

個人的には。「ローマ人の物語」とはかなり違った感じがしましたね。面白いんですけど、この時代は、どうしようもないなあとしか言いようもありませわね。
それにしても、ビザンチン帝国って、ローマ人の末裔なんだから、もう少し、しっかりして欲しかったですよね。

それと、イスラム教というものについても考えさせられましたね。
現代原理主義と言うわれる者たちが、けっして傍流ではないということも分かるような気がします。
石油が枯渇していけば、寛容でない人々が増えていくのでしょうから、テロの多発化は避けられないのでしょうかね
いろいろと未来を考えさせられる本でもあります。
ヤングガン・カルナバル・スペシャル ファイトバック・ホンコン
 ヤングガンカルナバルスペシャル ファイトバック・ホンコン    深見真   トクマノベルス


前巻で終わったと思ったのですが、出ました続編が。
この巻の最後で。みんなで仲良く卓球をして、露天風呂温泉に入っております。
そこでなれ合いますかね。
自分の一番贔屓の琴刃さんも、裸で土下座してしまいます。
それはいかんですよ。
みんな良い人にしたらいけないですよね。
ただし個人的には、琴刃さんは、不幸な生い立ちもあるので、塵八たち側について欲しい気もしていましたから、これでいいのでしょうとも思いました。

虚、毒島、ソニアの香港での過去の話は良かったですし、塵八、弓華のエピソードも良かったですね。
いろいろと楽しめた巻でした。
まだまだ書き続けていくみたいで安心しましたし、次巻が楽しみです。ただし、次ぎは1年後でしょうか。

やっぱり悪者のあの人が、復活するんでしょうね。
どんだけ悪逆非道をこれからするんでしょうね。
望みしは何ぞ 王朝‐優雅なる野望
望みしは何ぞ    永井路子    中公文庫


永井先生の王朝三部作の最終巻であり、「この世をば」の続編ですね。

摂関政治の頂点に立った藤原道長の息子能信を主人公としており、道長を違う観点から描いていました。
「この世をば」では、平凡児だが幸運に恵まれた道長を。この本では懐は大きいが、自己の政治目的の為なら、肉親を利用するのに躊躇しない人物として描いていました。

道長の二人の妻、倫子と明子。
明白に倫子側の子たちを厚遇し、明子側の子たちは冷遇する。
この本の主人公の能信は、明子側の高松系に属し、倫子側の鷹司系に使われ利用されております。

この本は、歴史的背景をその都度懇切の説明はしてくれますが、平安時代の王権について興味がないと読み通すのは苦労しそうな話ですね。
当時は王権が行き来する状況であり、三条帝は自分の道長の影響化にない息子を皇太子にする為に、道長と三条帝は鋭く対立する。もちろん三条帝の后に道長は鷹司系の娘を入内はさせており、その娘が男児を生むことができなかった。ことも対立の原因はあった訳である。
そして生まれた女児が、日本の歴史上重要な禎子内親王なんですね。
その禎子さまを不遇時代から支える存在として能信がいたんですね。
王権の主流のはなれない能信は、冷飯を食われながら、移りゆく権力者の行動を横目で観察しながら、自己が最適と思える行動をとり続ける。
鷹司系の者が、権力の頂点にありながらも、后たちが男児を生むことができないために、追いつめられていくところは、摂関政治の行き詰まりを描いていますね。

能信の死をもってこの小説は終わっておりますが、その後いくばくもなく、後三条帝が即位し、その息子の白河帝が誕生することで、院政が始まりますね。
そこで鷹司系の者は蹴落されてしまいます
能信の野望は叶ったとも言えますが、能信も思い描かなかった新しい政治状況の誕生があったとも言えそうです。

こういう歴史の流れは、考えさせられますね。
盲目的な歴史的な意思というものがあるのでしょうね。

道長が、余りにも幸運過ぎたのがいけなかったのと、道長の後を継いだ鷹司系の者の力量が不足していたことが原因なんでしょか。
いろいろ考えることができそうです。
面白い素材ですね。


・ 公家社会は、ある意味では演技の世界だ。仮面の下に本心を隠し、あくまで優雅に、心にもない演技を続けねばならなう。女であっても、きさきともなれば注目をあびる存在だし、それだけの覚悟も度胸も必要なのだ。

夢なきものの掟
夢なきものの掟    生島治郎    角川文庫 


この本の内容は、データーベースでは

政権奪取に向け対立する共産党と国民党。その狭間で利権保持の為に暗躍する列強各国。街には阿片中毒者が溢れ、その阿片で闇を牛耳る秘密結社・青幇―。この混沌の魔都・上海に紅真吾が再び姿を現した。かつて一攫千金を目論み、大陸浪人を率い揚子江を溯った紅は、多くの仲間と大金を失い地下に逃れた。その紅が、5年の時を経て現れたのは、友人葉村が阿片に溺れ失踪したからだ。敵対しながらも生死を共にした葉村を捜し出すことは、紅にとっても己の存在を確認することなのだ…。緊迫した時代背景を舞台に、男の生き様を懸けた旅が今始まる。

とあります
主人公紅真吾の行動原理と、当時の政治世相が頭に入っていないと、辺り構わず喧嘩を吹っかけるマッチョ野郎の顛末記に過ぎなくなりますね。

真吾さんは、昭和初期の上海で、故郷日本に居場所がなくなった無国籍者、アウトローとして上海に滞在し、軍国化を進める日本にほとほど愛想が尽きておりますが、中国人にも成りきれないし、中国人社会に受容されない存在でもあります。
取り敢えず金の為に危ない仕事をし、危険な連中の間を渡り合う。そして無敵です。
とんでもなく強いですねえ。

日本の当時の中国進出を悪だと断定し、やがて中国民衆に日本軍が追い出されるだろうという予測は、歴史が証明していることなんでしょうけど、日本人としては、ちょっとは日本の為に仕事をしろよとも思います。

痛快なヒーローものなんですけど、いるべき場所が、行動原理が、ぶっ飛んでいるとも言えますねえ。
かっこが良いとも言えるのですか、日本だけが悪いのか、中国は国民党政府や青幇だけが悪で、民衆は怠惰だが、悪ではない。
果たしてそうなのか。
チベット問題やウイグル問題での、中国政府の対処にほぼ無批判に支持する中国民衆とかを観察すると、戦前であっても中国民衆が善だったとは自分は言い難いと思います。


・ おれたちのロマンチズムは夢みたいな理想主義じゃない。しっかりと、うす汚い現実をみつめたうえで、そいつを乗り越え、自分の創ったルールを押し通すことさ
あずまんが大王 1年生

あずまんが大王 1年生    あずまきよひこ      小学館 


新装版を読んでみた。
これは凄い。
全面改編しておりますし、かなり書き足していますね。

だから何なのよ。と言われてしまえばそれまでなんですけど、おおっ、と唸らざる得ないのが正直なところ。
そこまでしてくれますか、とも言いたくなりますね。

いろいろいじっても「あずまんが」なんですが、微妙に読後の「あずまんが」の印象は変わったとも言えますね。
大くくりの「不条理マンガ」「萌えマンガ」というものであるというのは、変わらないのですが、その大くくり内で意味が変動しています。
旧版と合わせて読めば、面白さが倍加しそうです、
何度も読めて、非常においしいマンガとも言えそうです。

自分としては絶賛の言葉しか出て来ないですね。

では、いきなり旧版を読まないで、これを読んだら、どういう印象になるかというと、どうなんでしょうね。
ちょっと暑苦しい感じるかも。もしかしてそれほど面白く感じないかも知れないですねえ。

ブログ名を変更したことについて
 自分はブログ名については、そんなに真剣に考えたことはなく、適当につけていたのですが、
それでは、何をやっているブログなのか分からないじゃないかという指摘を受けました。

確かにその通りだと思いました。
主にやっている内容を書かないと親切じゃないですわね。

それで題名を「主に本の感想日記その他」
ということにしました。

地味ですが、自分は目立つのが本意じゃないので、このようにさせて貰いますね。
ラーメン発見伝 25
ラーメン発見伝 25    作:久部緑郎/画:河合単   小学館


動きの少なかったこのマンガも、この巻ては動きました。終わりが近いのでしょうか

藤本さんが、いつ独立するのかが、連載開始からの問題点だったのですが、そこに具体性が出てきましたね。
もちろん脱サラし、ラーメン店開業しても、続けてもいいのでしょうけど、そうはならないでしょう。

ラーメンマニアの藤本さんが、いろいろなラーメンと人に出会うのが、このマンガのコンセプトなんでしょうから、自分でラーメン店を始めてしまったら、同じメニューで勝負することになるから、あっちこっち摘んでいる立場じゃなくなる訳ですね。
そう考えると、プロのラーメン店主は、厳しい制約でやっていることになります。
好きだけじゃやってられない。ということなんでしょうね。

この巻は面白かったですね。
ここのところというより、このマンガの宿命として、初期に書いたものの模倣みたいな題材が、どうしても多くなってしまっていたのですが、終わりを見据えたことにより、それだけではないものを描くことにより、面白さがアップしていたような気がします。

この巻のラーメン対決において、ただの味勝負ではなく、お互い相手の店のコピーをするいう対決は、見方としては高度なんですけど、そこまでマニアックな勝負をするのか、とも言えそうです。
ただ単にその店のコピーをすることの不毛さを描くことと、店主が生涯を賭けて磨き上げたものを簡単にコピーできること者がいること。そのことに敬意も持たないことに対しての、疑問を描いておりました。

そういう問題は、ラーメン界だけでなく、全ての業界でありそうな問題で、新しいものと古いものということの垣根を越えて、多くの人が職場や学校で出会うことでもありますわね

このマンガは、そういう他の業種でもありそうなことを描いていることが魅力なんだとも言えそうです。

このマンガで、心が震えた言葉は

・ 人の世では仏になると鬼を呼んでしまうんだよ

二枚舌でいけすかない、敵方のラーメン店主の藪下の言葉。
人にはそれぞれ過去があるんですね。