影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
優しいコメントは大歓迎です。
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とある飛空士への恋歌2.
 とある飛空士への恋歌 2    犬村小六
     ガガガ文庫

自分の住んでいる町の隣町に、ライトノベルが一応置いている本屋があるのですが、品数は貧弱なものなのですが、この本は新刊平積みで置かれていた。
そんなに人気があるのか、中高生のハートを鷲掴みしているのかな。

女の子受けもしそうだし、男の子にも十分対応しています。ラブコメ派もファンタジー派も取り込んでいます。
せつない話でもあるけど、根暗な話ではない。美少年も美少女も出てきます。
描写力が入念ですし、話の展開もワクワクさせますし、うるさい外野の生徒も楽しいです。

一巻の運命の発端を受け、ここで語られている話は、脳天気過ぎであるとは言えますね。
ある面バランスは崩しているとも言えそうです。
そこが、この物語の良いところで、これじゃなくては始まらない
広沢虎造の浪曲のような魅力と癖になる味わいがありますね。

自分的には、オーケーです。強く強く支持したいです。
こういう地平でどんどん進んでいって欲しいです。

なんでラーメンなんや、カリエルはどうしてそんなに朴念仁で天然
なんや
つっこみたいところが満載なのもグッドですね。
恋愛パラメータが上空を行き交っているのも、嬉しいです。
教官も何やら曰わくありげだし、おもしろ展開がどんどん期待できそうです。
その中でもクレアとカリエルの関係は強烈です。
美しい言葉、背景と溶け合いもし、運命の二人の展開は息苦しくなります。名シーンが延々続きます。
ここは読んでおいた方がいいよと薦めたいです。
石を投げつけて邪魔したい衝動にもなりますけど。


・ ご、ごめん、変な意味じゃなくて! そんなほっぺ染めないでいいから!

ほっぺを染めるというのはだな。それはそういう意味なんじゃないのか。
そして

・ 真っ青な月明かりのおかげで空と海の境界が判別できた。月光だけで、ふたりはお互いのすがたを闇のなかに見て取れた。それほど明るい夜だった。

こういう会話とこういう描写。近景、遠景共々素晴らしいですね。


自分の好き度は9くらいでしょうか。
何処かむかつきますね。
日食を写すことができた
 このブログの主旨とは違うけど、日食を写すことができた。
嬉しかったのでアップします・

さすがに普通のデジカメでは、綺麗には写りませんね

ダブルナイト
ダブルナイト    玉岡かがり     芳文社 


最近息抜きの為に、いろいろ4コママンガを読んでみた。人気のあるものとか、可愛い絵のものとか、あっちこっち、つまんでみた。

すると、「僕の生徒はヴァンパイア」の玉岡先生が、他にシリーズを出しているのを知った。
題名に惹かれるところもなかったので、そのままスルーじていたんですけど、今回手に取ってみました。

自分は、玉岡先生の絵が好きなのだと納得。そして自分が4コママンガで一番注目する点は、好きな絵柄であるかどうかだとも分かった。
4コマというものは、ストーリーを捻る訳にもいかないので、人間関係を奇抜にするか、可愛い絵であるかが、重要なんでしょうね。
自分にとっては、絵柄が重要だと認識できた。

「ダブルナイト」は、雪影さんが、女の子以上に可愛らしい男の子であるといういうのが、奇抜な設定だと言えるのですが、もう一人の主人公の稲穂さんは、男まさりのかっこいい女の子という設定でもあるのですが、見た目も女の子らしいです。
お互いの差を強く意識はさせる描かれ方ではありません。
二人は、それなりに和んでいます。
その他の登場人物も、きつい性格の人はいないようです。
現実世界もこうあって欲しいです。

お嬢様で稲穂さんのライバルだったいぶきさん。雪影さんの妹の花音さんも、ほどよく中和しています。
稲穂さんのお父さんもいい味だしています。謎の人であります。

ほんわか雰囲気が、自分は好きです。
他愛はないですけど、そこのところがいいです。

玉岡先生の他の作品も読んでみたいと思いました
秋期限定栗きんとん事件 上・下
秋期限定栗きんとん事件 上・下   米澤穂信   創元推理文庫


米澤先生の「小市民シリーズ」の最新刊を読んでみた。(最新刊といっても少し前に出たものです)

ここでは、小山内さんも小鳩くんにも、かわいい彼氏、彼女が出来ました。
本来なら、それぞれ幸せになるのでしょうけど、二人の心の中の習性が、なかなかそうはさせない。
不幸な人たちと言えばそうなんでしょうけど、お互いがそれぞれを知るのには、それは必要な経緯なんでしょう。
栗きんとんが、予想以上においしかったので、そういう諸々の諸苦労も、ちゃらということでいいのかな。

縦軸に事件が発生はしていますが、犯人よりもそれを取り巻く人の動きの方が面白い話です。
そういう点は巧妙ですね。小山内さんの意図もそこに絡ませるのだから、凝った作りの話なのかも知れないです。

でも、小山内さんと小鳩くんが、どういう人かは前作までに明かなので、このシリーズを最初から読んでいる人には、展開は予想し易いものだったかも。


・ わたし、知りたかったの。恋とはどんなものかしらって

小山内 さんの言葉。単純に受けれませんけど


・ 見た目はただの女子高生なのに、実に侮れない。そう考えると、侮れない人材は結構どこにも転がっているのかもしれない。この小さな高校の中で、使える人材が功を成し、使えない人材が沈んでいく。なんだかぼくまで世間様が修羅場のように感じられてきたけど問題はそこではない。

小鳩くんの言葉。普通の高校生はこういうように考えないですよね。変わっていますね
物語の役割
物語の役割    小川洋子    ちくまプリまー新書


この本は、小川先生の物語との出会いを語ることにより、創作の秘密をも語っているものでした。

対象として読者層は、中高校生向けなんでしょうど、普通に考えられている作家の創作態度とは、違う印象を与えられるかも。
国語の教科書での作文の授業とは、かなり違います。

自分が学生時代には、こういうような見方で作文を教えられた記憶はありませんね
学生時代に出会いたかった本です

・ テーマがさえしっかりしていれば、いい小説が書ける

という態度を幻想だと先生はおっしゃって

・ 作家になるためには想像力、空想の力が必要だと言いますが(もちろんそれも必要なんですけども)、むしろ現実を見る、観察する、そういう視点も非常に重要になってくるものと思われます

といい、

・ 言葉にできないものを書いているのが小説ではないかと思うのです。一行で表現できないからこそ人は百枚も二百枚も小説をかいてしまうのです


この本は、先生の「博士が愛した数式」を元に、さらにアウシュビッツ収容所を扱った様々な本から、その他様々な本をも渉猟して、物語を紡いでいくこととは、どういうことなのかということを語り明かしてくれます。

そこの具体例は、微に入り細に入っていましたね
中高生が、この本を読むと大きな衝撃があるかも知れないし、考える素材としても有益でしょう。
エンダーのゲーム
エンダーのゲーム    オースン・スコット・カード, 野口 幸夫訳     早川文庫



ウィキペディアでのストーリーを転記してみると

時は未来。人類は、バガーの二度に渡る太陽系への侵攻を退けた。そして三度目の侵略に備えるため、地球の衛星軌道上にバトル・スクールと呼ばれる施設を設置し、「戦いを終わらせるもの」を養成することに決定した。
その頃、地球では少子化政策により、一家族で2子までしか子供をもうけられなくなっていたが、長男ピーターと長女バレンタインの優秀さから、ウィッギン家には特別に3人目の出産が許された。その3人目こそ、運命の子アンドルー(エンダー)・ウィッギンだった。天才的な才能を見込まれ、司令官の最有力候補としてわずか6歳でバトル・スクールに編入させられたアンドルーは、世界中から集められた優秀な子供たちの中でも桁違いの成績を残し、成長していく。時を同じくして、ピーターとバレンタインもネットを利用して、地球上で勢力を広げていた。果たして、アンドルーは戦いを終わらせることができるのか……、ピーターとバレンタインの狙いは成功するのか……

とあります。
上手く書いています。

爽快というような話ではないですね。話はバカでかいけど、登場人物も限られています。仕掛けは意外と単純な話なんじゃなかろうか。
少年の自立というのが、この話の大きなテーマなんでしょうけど、その少年が若過ぎます。
天才だからいいのだ。と言えばそれまでなんですけどね
兄弟姉の話ですが、その兄弟は仲が良いとは言えないし、仲間内でのいじめもあります。

この本は、大きな賞も得たし、絶賛する人も多いと思いますが、SFに馴染みのない者(自分もそうです。)とかが読むと、読み通すのに苦労するかも知れないです
「クジラのソラ」は、ここからアイディアを拝借したのかな。
ちょっと似ているね


・ われわれが進化をする方法は、無理に無理を重ねて、遂に、二、三世代おきに、天才を産み出すことによってなのだ。車輪を発明した者。そして照明を。そして飛行を。都市を、国家を、帝国を建設した者。きみは、これを少しでも理解するかね?

欧米人の考えですね。天才がこの世の中のしきたりを決める。
この話は、そういう思想で貫かれたものであるとは言えそうです
「美の文明」をつくる 「力の文明」を超えて

「美の文明」をつくる 「力の文明」を超えて 
     川勝平太   ちくま新書


川勝先生が静岡県知事に当選したと知り、我が家に積んでいた川勝先生の本を読んでみた。

以前この本を読もうとしたときは、色々なテーマに話が飛び、漠然とし分からなくて、途中で放り出してしまった。
今回読んだ分でも、文中に引用されている本とか人を知らなかったりもしたので、読みづらいものであったけど、どんどん読み進めてみた。

構想の大きな本ではあるのですが、題名そのままの内容ではあるみたいです。
美の文明を作る。力の文明から美の文明へと

4つの章のうち、自分が面白く読めたのは、2,3章ですね
2章の岩倉使節団における美の発見は、面白かったですね。
アメリカ、イギリス、フランスと岩倉使節団が廻るにつれて、そこで見たことの感想と、学んだことを説明していくところは、意義深いですし、示唆にも富みますね。

アメリカでは、

・ アメリカは、「欧州においてもっとも自主自治の精神にたくましい人々が集まり来たって建国した国であり、そうした人々が国を率うる処である」という高い評価にかわる。自主自立の精神をもっているのがアメリカであり、日本にはそれに欠けるというのである

最近自分が読んでいる「赤毛のアン」でも最も感心するところは、そういう点です。
ここで、アメリカが文明の中心であると認識されるのですね
イギリスでは

 イギリスと日本との時間差は「僅か四十年」、つまり一世代で追いつけると確信したのである

意外とやれるのじゃないかという確信も持ったみたいです。

 徳よりも力が重要で、軍備を整え国民財産を守る強国が文明である

とも学ぶんですね
フランスでは

・ イギリスで圧倒された力まかせの文明ではなく、繊細な美の文明であった。

というところで、美の文明へとたどり着く


三章の「東京時代と決別する」
は、今世間で話題になっている地方自治の問題とクロスしますね。
ただし川勝先生の視野は広いので、東国原知事が説く、現状の地方自治体維持、地方の権利拡大とかいうような話にはなりませんね。
現状の県、首都の枠組みの解体を説いているみたいです。
特に首都移転の提言は、大胆とも言えますが、日本の将来を考えれば、本来はそうあるべきでしょう。

・ 東京の役割は西洋文明を日本化するいわば変電所である。

そして

・ 奈良と京都は唐の文明を入れる装置であった

大胆な言葉と、その説明は、スリリングです
そして道州制の提言
「森の日本」「平野の日本」「山の日本」「海の日本」「島の日本」
同じ言葉を使うにしても詩的なイメージがありますね。

・ 「県」をなくすことである。県は中央政府の下請け的存在である。家屋にたとえば、中二階のようなもので、県は長期的には不用である。

と述べておられます。
静岡県の人は、川勝先生のような人が知事になったので、幸福なのかも知れないですね。
川勝知事の発言には、自分は注目したいと思います。

でも。この本は読み難かったなあ
この記事には、誤読しているかも知れないので、この本を探してじっくり読んでくださいね。

アンの愛情

アンの愛情    モンゴメリー  村岡花子       新潮文庫


この巻では、レドモンドカレッジに進学したアンの学生生活を描いておりましたね。
新しい友達のフィリパが魅力的でした。
一方、古い友達のダイアナは結婚し、ギリスはなくなってしまい、ジェーンは金持ちの亭主を捕まえました。
古い友が色あせる中、ギルバードは一途ですね。

この二人の愛情問題がこの巻の大きなテーマなんですけど、収まるところに収まり、アンはかって自分が思い描いた王子様のような求婚者をも断りました。
こういう展開は予想されるのですが、予想通りいかなかったら、世界中の読者は怒るでしょうね。
それにしても、ギルバードって、いい奴過ぎますね。
金持ちじゃないところを除けば、完璧ですね。
若人は、ギルバードを目指すべきべきですね。
そのギルバードに求婚されるアンも、理想的な女の人になっているんでしょうか。
教育と情操の力、恐るべしですね

勉強すればするほど、魅力を増し、情操豊になるはずなんですが、現実の教育は必ずしもそうなっていない。
では、どうしたら、魅力的な人になれるのか、ということを考えさせてくれる本が、このシリーズなんでしょうか。

アンの旧友のギリスとの別れは、痛々しいかったですね。
物語倶楽部のメンバーの行く末には、考えさせられますね。



 アン、わたしが特別あなたを好きな点はね、心から人を誉める点よ。あんたには微塵もねたみがないのね

新しい友フィリパの言葉。フィリパは、観察眼が鋭く、この巻ではアンよりも魅力的なモノの見方をしていました。
世界は広いですね



・ もしも真の「美しい王子」があらわれないなら、その代用品など欲しくなかった。風吹きまく、曇り日の公園で、アンは厳しく自分に言いきかせた。

アンは、青い鳥症候群だったみたいですね



・ 人が夢を描き、悲しみ、喜び、生活している部屋にその経験と離れないつながりを持つようになり、それ自身の個性を持つようになるのじゃないかと思うわ

フィリパの言葉。いいこと言います。アンはフィリパにアシストされ、この巻の終わりで幸せを掴みます。いい友ですね。

真田太平記 1 天魔の夏

真田太平記 1 天魔の夏   池波正太郎    新潮文庫


今年の大河ドラマの「天地人」が、自分にとっては消化不良な内容なので、他の同時代を描いた歴史小説を読んでみようと思った。

未読の「真田太平記」に手を出してみようということにした。
この本は長大なので、手に取らずにいたものです。

この巻は、武田氏滅亡時から始まりますね。
冒頭で、激戦だった高遠城の戦いが入念に描かれております。
ここで、信玄の五男で、武田家当主の勝頼の弟の仁科五郎盛信は、壮烈な最期を遂げ、城中の武田の武士は悉く討ち死。

戦国時代というのは、殺し合いが日常にあり、大変厳しい生存競争の時代だと実感しましたね。
昨今の大河ドラマは、戦国ホームドラマ化していますが、そこでは、登場人物が泣いたり踊ったりしていますが、そういうものとは一線を画してはいますね。

武田勝頼は、真田家の当主昌幸の誘いを断り、非業の最後を遂げましたね。
もしあのとき、上州に行き信長の追求を逃れることができたら、まもなく起こった本能寺の変後の日本の歴史は変わったかも知れないですね。

真田昌幸が、この巻の主人公らしいのですが、高遠城から真田の忍びに救われた向井佐平次。昌幸の子供の源三郎、源二郎、後の信幸、幸村ですね。
いろいろな登場人物の顔見せの巻だったのかもしれないですね。

本能寺の変後、素早く天下を奪っていった秀吉の動きを活写していくところは、秀吉の人心把握の妙もあって、読ませますね。
鮮やかに天下を奪取していきます。
それを真田の忍びを冷静に観察し、昌幸に伝えました。
天下胎動ということで、次巻へ大きく期待を抱かせてこの巻は終わりました。

武田勝頼の心中、徳川家康、織田信長の動きも、いろいろ考察されており、歴史好きには堪らないですね



・ おれなら、我が子を殺しはせぬ。ほろびてもよいわ、信長と一戦をしてくれる。

我が子をみすみす見殺しにした家康に対し、昌幸のつぶやき。
昌幸は家康の力量は認めていたが、相容れぬものを持っていたのでしょうね



御本膳
・ 御汁、麩に白鳥
・ 鯰、鯛、きくらげ
・ 香の物、御飯

二献
・ 鮎(しもふ)
・ 生鮑(針生姜)
・ 胡桃あへ

三献
・ 栄螺
・ いり昆布
・ 御汁(昆布・豆腐)

御菓子盆
胡桃、松の実

濃茶

家康が信長を歓待したメニューが載っていた
さすが食通の池波先生ですね。
おいしそうです。

マリア様がみてる リトルホラーズ
マリア様がみてる リトルホラーズ   今野緒雪   コバルト文庫

 
このブログの感想記事は、自分の備忘録に過ぎないので、面白かった。つまらなかった。
くらいのコメントでもいいのですけど、様式化して書いていることもあり、余分なことを書いてしまうことも多いですね。

「マリア様がみてる」の新刊「リトルホラーズ」は楽しみにしていたのですが、読後の感想は、なんじゃこら。です。
別に面白くないという訳でもないんですよ。それはそれで十分堪能もしたんですけどね

この世界の重心が、紅薔薇姉妹から黄薔薇姉妹へ移行しつつあるということなんでしょうか。
自分は断然紅薔薇派なので、この展開は、ちょっと。

それに、過去に「インライブラリー」という巻があって、それは消えしまった祥子さまを探すというだけの話だったのですけど、この新刊もそういうような感じでした。

大きな事件が、新年度になったことからあったはずなんですけど、そこを見事にすかした感じがします。
次巻に自分は期待します。