パナマの死闘 著 フォレスター 訳 高橋泰邦 早川文庫
高名なホーンボロワーシリーズの第5作目を読んでみた。
このシリーズは、この巻から書き始められたらしいし、シリーズで一番面白いという人も多いものらしい。
何年か前に、イギリスでこのシリーズがドラマ化もされ、日本でもBSで放送していた。
重厚に作られており、主演の男の子がV6の岡田くんに似ているなあ。
とか思ったりしたもんだ。
この作品を読んでみて感じたのは、大英帝国の黄金期の海軍の輝かしさと、どうしようもない身分制度の中で、軍隊とは、数少ない風通しよい場所で、そこでなんとか成り上がってやろうという野心家の話のような気がしたね。
内容は、題名通り、パナマでの死闘なんですが。
これは、RPGみたいなものなのかしら
ある指令を受けたホーンブロワー艦長が、その任務を忠実に実行していく中で、当時の国際状況の変動で、昨日の味方が、今日の敵になっってしまったりして、奇しくも自船よりも強力な敵との不利な状況での戦闘に突入してしまう。更に、貴族の女性を乗船する羽目になったりと、いろいろな困難が、ホーンボロワー艦長にのしかかってくる。
アハーンとか、いいながら外面上は、たいしたことがない振りをしながら、部下を叱り続ける一方、内面はこんなんでいいのだろうかと逡巡するところは、面白いところだね。
圧巻は、戦闘シーン。
敵船との、砲弾を撃ち合いながら、味方も損害を受けながら、相手を叩いていく、身を削るとはこういうことなんだわね
敵将もあっぱれで、男の死力を尽くした戦いとは、こういうものなのだろうね
個人的には、ホーンボロワー艦長のロマンスは、いらないと思ったのだけど、どうなのかね。艦長の意外な一面を垣間見られたのは、面白いとは言えるのだけどね
抜き出してみると
・ネズミ一匹が三ペンスというのは、ちょっと高いようだな
帆船内では、ネズミが上等な料理になるらしい。
・二ヶ月も、自分の任務の勉強をして、そのあげくに、どうしたらいいか聞かなければならんのか!
艦長とか苛烈なものなんだ
・間もなく、身近に、小石がばらばらと来るが、ひとつ、連中に英国人がものともしないところを見せてやろうじゃないか
この小石とは、敵船の砲弾のこと。試されるのは度胸。