影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
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青春は美わし
青春は美わし     ヘッセ/高橋健二訳     新潮文庫

「文学少女」シリーズに出てきたヘッセの「青春は美わし」を読んでみた。
新潮文庫版では、「青春はうるわし」と「ラテン語学校生」の二編が収められている。
どちらも、古いスタイルの人々の恋愛で、簡単に恋の告白をしないし、自分の運命も粛々と受け入れる人たちだ。

であるので、物語内で、大きな事件も出来事は起こらなかったりもする。
「ラテン語学校生」で店先から食べ物を盗ろうとしたところだったりする、大事に至っていないがね

自分としては「青春は美わし」の方に、より強く惹かれたね
それぞれが、誰を好きで、どういうように好きなのかを把握しあっているのだけど、言語化しないで、微笑みの中で過ごしていく、
現代人なら、さっさと告白してしまえということになるんだけど、この人たちはこういう緩やかで穏やかな人間関係の方を珍重し、そういうように行動する。
つまり節度があるんだよ
それが読む者に安心感を与え、気持が良かったりもするんだよね

「ラテン語学校生」は、主人公は、もっと恋する相手に自制をしている。傍観者と言ってもいいのかも、そして愛し合う人たちに祝福をというような気持にもなっている。
ここまでいくと、恋愛ものとして成り立っているのかね、とか思ったりするんだけど、どうなんでしょうね
悪魔のミカタ 666 (3) スコルピオン・デスロック 上
悪魔のミカタ 666 (3) スコルピオン・デスロック 上    うえお久光   電撃文庫


この巻の内容は、次期生徒会長選を紅白祭という運動会で決着することになり、その紅白祭の前半までが書かれていたね。

いきなり、この巻を手に取った人は、なんのことかさっぱり分からないわね、
スコルピオン編に入ったときに、念入りにそれまでの話を紹介していたのに、やっぱり最初から読まないと「悪魔のミカタ」は分からないのかも

小鳥遊さんや綾さんが、イハナさんの敵側の赤組に行ったりと、いろいろな思惑は錯綜しているし、相変わらず腹黒い?イハナさんの策謀が冴えわたっているし、菜々那さんの余裕の態度も気になるし、小鳥遊さんの妖しい行動も、大いに気になったね。

熱血なんだけど、ちょっとずれた熱血なんだけどね
最後の借り物競走で、大いなる陰謀が………
この展開は、読めなかったね
果たして、続きはどうなるんでしょうね。


ちょっと脱線すると、

自分の脳内BGMで、青い三角定規が歌っていた、昔のドラマ「飛び出せ青春」の主題曲「太陽がくれた季節」がずっと鳴っていった

 君は何を今 見つめているの
 若い悲しみに 濡れた瞳で
 逃げてゆく白い鳩 それとも愛
 君も今日からは 僕らの仲間
 飛び出そう 青空の下へ


すみませんでした。
勇者の帰還
勇者の帰還    セシル・フォレスター/著 高橋泰邦/訳   早川文庫


前巻で、捕虜になってしまった、ホーンブロワーと副長ブッシュは、パリで処刑される運命になった。が、護送途中に奇跡的に脱出に成功し、拿捕されていたイギリス船を乗っ取って、イギリスに戻った。

この巻は、かなりご都合主義的な展開で、いわゆるちょー展開なのかもね。
ホーンブロワーの身辺のロマンスもあり、帰ったら、身重な妻が、………

あまり内容に触れすぎたら、いかんので、この辺でやめておくけど、ホーンブロワーにとって幸運な出来事が多々あったね。

ちょっと、それでは、あまりにも都合良すぎだよ。
前巻の熱い展開と、いまだに捕虜のままのサウザランド号の元乗組たちがいるのにね、

やっぱり、このシリーズは、海に出てなんぼのものという物語なのかもね

レディ・バーバラという女性も、古風な男が望む理想的な女性をそのまま描いたような造型というのも少し気になった。それはそれで、ある種の願望を達成していて良いのだけど、新しい読者たちには、ちょっと抵抗があるかも

燃える戦列艦
燃える戦列艦    セシル・フォレスター/著 菊池光/訳    早川文庫


まず抜き出してみると

・残りの敵艦と相対するのを知ると、少なくとも半数が確実に死ぬことになるのに、乗組員がまたもや歓声をあげた。哀れな愚か者だ。ホーンブロワーは、彼らに対して、彼らの気違いじみた闘争心や栄光を求める気持に対して、憐れみーそれとも侮蔑?ーを感じた。

戦闘を避けることができたのに、冷静に自分の船を一隻失うのと敵の4隻の戦列艦を失うことを比較考量し、死地に赴き、それに歓喜をもって応える乗組員たち。

男だなあ。なんか知らないが痺れまくりだ。
これは、ロマンなのか。それとも狂気なのか

次々と死んでいく乗組員たち。メインポストが折れ、航海不能になり、大砲を撃つ砲員がいなくなっても、最後まで絶望的な戦闘を繰り広げる。
時間は、ゆっきり流れていき、時には速く、過ぎるような描写だ。

といっても、この巻の海戦シーンは、最後の方だけで、

最初は、レディ・バーバラへの恋心に悶々とするホーンブロワー艦長。
途中では、自ら上陸部隊に参加して、すっぽんぽんになったり、上司の提督とのやりとりに汲々したり、スペイン軍との共同作戦において、スペイン人のいい加減さにいらいらしたり、嵐に見舞われたりと、いろいろな苦難がホーンブロワー艦長に降りかかってくる。

そういう苦難に冷静に、最善の策とは、何かを考え、的確に行動し、決して弱音を吐かず、前向きに対処するホーンブロワー艦長。
あんたは、なんてモーレツ野郎なんだ。

それにしても、味方の護衛していた商船から兵員を強制徴収してしまうという発想は、もう天才的だわね。
大事な顧客を脅してでも、難局を乗り越えようとする意志は、アングロサクソン人が、世界の海を制覇できた要因の一つなのかも
逞しい海賊根性というのかな



更に、抜き出してみると


・敗北というのは、戦う者が遅かれ早かれ遭遇する不運です。今日、昨日の報復ができることを祈っていましょう



・海戦の勝敗は相手の虚をつくことによって半ば決まるといってよい



パナマの死闘
パナマの死闘     著 フォレスター 訳 高橋泰邦    早川文庫


高名なホーンボロワーシリーズの第5作目を読んでみた。
このシリーズは、この巻から書き始められたらしいし、シリーズで一番面白いという人も多いものらしい。

何年か前に、イギリスでこのシリーズがドラマ化もされ、日本でもBSで放送していた。
重厚に作られており、主演の男の子がV6の岡田くんに似ているなあ。
とか思ったりしたもんだ。

この作品を読んでみて感じたのは、大英帝国の黄金期の海軍の輝かしさと、どうしようもない身分制度の中で、軍隊とは、数少ない風通しよい場所で、そこでなんとか成り上がってやろうという野心家の話のような気がしたね。

内容は、題名通り、パナマでの死闘なんですが。
これは、RPGみたいなものなのかしら

ある指令を受けたホーンブロワー艦長が、その任務を忠実に実行していく中で、当時の国際状況の変動で、昨日の味方が、今日の敵になっってしまったりして、奇しくも自船よりも強力な敵との不利な状況での戦闘に突入してしまう。更に、貴族の女性を乗船する羽目になったりと、いろいろな困難が、ホーンボロワー艦長にのしかかってくる。

アハーンとか、いいながら外面上は、たいしたことがない振りをしながら、部下を叱り続ける一方、内面はこんなんでいいのだろうかと逡巡するところは、面白いところだね。

圧巻は、戦闘シーン。
敵船との、砲弾を撃ち合いながら、味方も損害を受けながら、相手を叩いていく、身を削るとはこういうことなんだわね
敵将もあっぱれで、男の死力を尽くした戦いとは、こういうものなのだろうね

個人的には、ホーンボロワー艦長のロマンスは、いらないと思ったのだけど、どうなのかね。艦長の意外な一面を垣間見られたのは、面白いとは言えるのだけどね




抜き出してみると


・ネズミ一匹が三ペンスというのは、ちょっと高いようだな


帆船内では、ネズミが上等な料理になるらしい。




・二ヶ月も、自分の任務の勉強をして、そのあげくに、どうしたらいいか聞かなければならんのか!


艦長とか苛烈なものなんだ





・間もなく、身近に、小石がばらばらと来るが、ひとつ、連中に英国人がものともしないところを見せてやろうじゃないか


この小石とは、敵船の砲弾のこと。試されるのは度胸。




疾走する思春期のパラベラム デイドリーム
疾走する思春期のパラベラム デイドリーム     深見真     ファミ通文庫


シリーズ3巻目を読んだ。
この巻の内容は、データーベースでは

夏休みに入り、本格的に映画を作り始めた一兎たち城戸高校映画部の面々。だが、ある日、一兎たちの暮らす町で猟奇殺人事件が発生する。それは、志甫の兄を殺した連続殺人犯──「クロスドレッサー」の仕業だった。志甫は単独で飛び出し、映画部はバラバラになってしまう。そんな中、一兎は、難病による死を目前にした少女、美玖と出会い、志甫のことを気にしつつも、どこか自分に似た翳を持つその少女に惹かれはじめる──。学園異能アクション第3弾!

とあり、大体そういう内容だったんだけど。

その裏にあるパラベラムというものが、なぜ生まれたのか
乾燥者との宿命的な戦いとかが実は重要で、そういうものを書きたい為に、登場人物たちは存在しているのかも。
そして、その仕掛けがけっこう大げさだったりする。
これから、ますます派手に展開していきそうだ。
が、こんな話、もうついていけんという人もいるのかも

主人公の一兎と志甫の事情も解決したが、これまで脇役で目立たなかった夜南と喜美火の扱いが大きくなって、これから重要な役割をしそう。

それにしても、だんだん「ヤングガン・カルダハル」シリーズに似ていくような気がするわね。



抜き出してみると

・志甫はアホだけど、こういうタイプのドジではなかったはずだ。



自分の好き度は、8くらいです。
“文学少女”と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)
“文学少女”と慟哭の巡礼者(パルミエーレ)     野村美月    ファミ通文庫


文学少女シリーズの5作目を読んだ。
これは、どこまで内容に触れてもいいのかな
データーベースでは、

ビター&スイートな物語、衝撃と感動の第5弾! 
遠子の受験・卒業を目前にし、寂しい思いにとらわれながらも、ななせと初詣に行ったりして、和やかなお正月を迎える心葉。だが、ななせがケガをし、入院先に見舞いに行った彼は、その心を今も縛り付ける、ひとりの少女と再会する――! 過去に何があったのか。そして今、彼女は何を望んでいるのか……。心葉は、そしてすべての物語を読み解く”文学少女”は、その慟哭の中から「真実の物語」を見つけ出すことができるのか!?

とある
が、これではほとんど内容に触れられていないわね。
そして、これ以上触れては、いけないのかな

これから、ネタばれがあるかも知れませんので、気をつけてください。

いままでの作品の集大成みたいな巻で、主人公の心葉が、過去に幻の美少女作家になった因縁を作った少女、美羽が出てきた。
そして、美羽と心葉との間の話なんだけど、これはビターな物語だったね。

行き違いがあったといえば、それだけなんだけど、心葉くんに才能があったのは仕方がないし、心葉くんの目に写る美雨がそのようであったからって、やっぱり仕方ないんだけど
優しい心葉くんは、そういった美羽を、なんとかしたい。

こういう感情は、恋愛感情とは違うのではないのかと思ったりもした。
やはりそうなのかも知れないが、それだけじゃない感情もあるわね。
そこが難しいところ

カンパネルラとジョバンニの旅は、………

上手い!!
とか、おじさんは突っ込んでしまうけど、
なんて、青少年の気持ちは純粋なんだ。
ああ、眩しすぎる。

でも、やっぱり出てきた遠子先輩(あんた受験はどうしたんだい)

そのあと銀河鉄道の旅は、……

この巻は、文学少女のこれまでの話と、やはり同工異曲の話だった。それまでの話より無理がなかったので、このシリーズの代表作になったのかもね

青少年の自立の話だったのかな。
生きていく中で、困難に直面した場合に、やはり助けてくれるのは人。
いつも自分の味方だという感情なんだろうね
たとえ愚かであっても、そういう人になりたいものですね

自分は、ほとんど宮沢賢治を読んでいなかったので、これを機会にぼちぼち読んでいこうかな
それと、ヘッセの「青春はうるわし」もね



抜き出してみると

・わたしは……っ、自分の気持ちを、素直に伝えられる子になりたいっ

ななせさんの、言葉を抜き出しちゃった




自分の好き度は9。本当は10でもいいのだけど、次ぎもでるので、ここでは控えめにしておこうかな
メイド刑事(デカ) 2
メイド刑事(デカ) 2     早見裕司     GA文庫


「赤朽葉家の伝説」を読んでみると、同じレディースとかヤンキーを描いた小説の「メイド刑事」を思い出した。
そこで、中断していた2巻を読んでみた。

この本は三章から成っていて
「葵、スターになる! セレブ夫婦の裏の顔」
「葵のお見合い!? 花嫁衣装は死に装束」
「悲しき同窓会! 葵の王子様」
とある。

どんな話なのかは、これで憶測できるかも
気になるのは、葵の王子様というところかな、葵の大切なご主人様の海堂ではなく、違った誰かなんだよね。
それに、葵のお見合いというのも、気になるかも、こちらも相手は海堂さんじゃない

読んでいて、ますますあの名作マンガ「スケバン刑事」との、異同に気になったわ。
恐るべき黒幕も出てきた。それもかなり悪い奴だ。

おじさん族の微妙なツボを突いているが、若者が受けるようなものからは、だんだんと離れていっているのかも、中森明菜を最近の若いものは、どう思っているのかも不明だしね。

葵の過去の因果もここでも語られており、全体を貫く話も少し動いた。
意外と構想の大きい話だし、唐突だけど、流れメイドさんニキータさんもここでも出てくる。
あれこれ、細かい雑知識も散らばっている。
様々なアプローチも突っ込みも可能だ。
作者は、おそらくまめな人なんだろうね



抜き出ししてみると


・オークションの商品説明で、発売前の新商品が妙に安く、現物の写真ではなくメーカーのサイトに載っている写真を転載している場合などには、注意が必要ですな。きちんとした業者との見分けも必要です。

為になるなあ。おじさんは、ふむふむと思った



・若いままでいることは、未熟なままだ、ということだ。葵は自分が未熟だ、と思うからこそ若さにはこだわらない。美しさが若さの中にあるなどとは決して思わない。遠慮せずに言えば、それは、―
(ガキのままだ、ってことじゃないの)

葵さん、あんた17歳なんだけど、おじんくさいですよ



・それは単なる「ビジネス」ではない。本当の意味での「仕事」だ。メイドも同じことだ。自分の仕事を、自分の手の内に収めて専念すること。それが何より、やり甲斐を感じさせるのだ。


その通りですね、葵さん



・「女は、弱みを見せる男には、手もなくだまされるものです。女の嘘はかわいいものです。ですが、男の嘘には、金だの何だのと、大きな物がからんでおります。」

この巻では、朝倉老人が活躍したね。奥深い人物だ。



この巻の自分の好き度は、7くらい