影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
優しいコメントは大歓迎です。
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螺旋の国の3ドリル
螺旋の国の3ドリル 富永浩史 HJ文庫


久しぶりに更新します。
「ぼくらのみかたん」が、自分はかなり気にいっており、その同じ作者の作品だったので、妖しい題名なので躊躇したのですが、購入して読んでみた。

内容は、データーベースからは、

すべてを貫く無敵の螺旋。人それを「ドリル」と呼ぶ。モデラー少年、宮寺轟と海城竜一、そしてドール大好き少女翠の3人は、突如現れた螺旋の怪獣とともに地底世界へ召喚されてしまった!螺旋の力が支配する世界で「螺旋の使徒」となった轟たちは、その手に握ったピンバイス(モデラー必携3ミリ径)で真実を貫くことができるのか。

とあり、その螺旋の国という異世界で、活躍するドリル好きの2人の若者とドール好きの一人の少女の冒険物語だったね。
ドリルに心ときめかす人が、世の中にどれだけいるのか分からないわね。

自分は、これ読んでいると、この不条理小説はなんやねんと思った、
旧日本軍の軍曹さんも出てくるし、恐竜さんも活躍。魔法少女もいる。
でも熱血であるんだね。
カフカとかカミュに熱血をいれたら、おかしいわね。
それに描かれている世界観もおかしい。
要は、変な話ということなんでしょうか。


抜き出してみると

・「何か期待していなかったか、今」
「別に、委員長の洗濯板には何も」
「再会して最初に言うことがそれですか!」



・「形が魔法を生み出すのですから、あちらで使っているような螺旋型のものを回すほうがはるかによいのです。」
ドリルはかっこいいほど強いと、しかも美少女に保証されたということらしい。



自分の好き度は、7くらい。
この作者の本を自分は好きだから高い評価だけど、世間的にはどうなのかな。

おことわりと夏の読書計画
このブログのサイト紹介の文章に、ライトノベル、マンガを主に読んだ感想を書くブログですと書いていたのですが、変更する必要があります。
依然としてライトノベルやマンガの感想記事も書いていきますが、比率が下がっていきそうです。

この夏、前々から読んでやろうという本の読破を目指したいと思います。
ただし努力目標なのでできなかったら、御免なさいです。
8月初めまで忙しいので、盆前からチャレンジしようと思います。
その本は

収容所群島   ソルジェニーツィン

細雪   谷崎潤一郎

「栄光の岸壁」「銀嶺の人」「孤高の人」   新田次郎

五輪の薔薇    チャールズ パリサー


以上4つのコースのうち一つでも読んでみたい。
過去に挫折したものばかり、
収容所群島で、不幸について考えてみたいし、新田先生の三大登山小説も読んでみたい。
五輪の薔薇は、過去に読んで登場人物が混線した止めてしまった。
もう一度挑戦したいな

読めたら、感想を簡単に書いてみますが、難しいかもね
ラノベの文体について自分の考え 補足あるいはまとめ
さっき書いた記事では、結論への流れがぐだぐだだね。
簡単に結論を述べておこうかな。(さっきの記事を書き直せばいいのだと思うのですが。面倒くさいので、すみません)


作品は、作家がいろんなことを考えて作られたものだ。(当たり前だ。)
特に、ライトノベルとかマンガというジャンルの作品は、特に作家の思惑が強い。
自由に書いているジャンルだからね。
何について書かれているのかも様々だ。
そして、その思惑は、ちょっとおかしいというものもあったりするが、そういうものを許容し、その作家の世界に入る必要がある。
遊園地の乗り物に乗った感じなのかも。
そしてそのアトラクションを楽しめたかがどうかの評価が、ラノベ等の感想というのではないのかな
自分などが書いている感想記事は、そういうものだと思う。

なので、その作家の思惑や世界観に対しても、異議を唱えたい人がいたとしても、そういうものは、あくまでその作家とその作品に対して向けられる個別的なものにすべきじゃないかな。
ラノベ等全体としてどうだと言われても、遊園地自身がいけないのかというようなものになると思う。

個々の作品に対し、好きな人はその人なりに勝手に深めて、その作品の世界観や作者の思惑へ迫ればいいわね。
それでも、その作品のその表現、描かれる世界を許容できるかどうかは、個人差はあるわね。
本当に我慢できるかどうかが問われる。
おかしいというものでも、面白いと感じさせれば勝ちみたいな世界だからね。


でもラノベ文体うんぬんと言える人にも期待したいわね。
自分の好きな作品について、生き生き語るという行為は、端から見ている分には、微笑ましいものね。

自分も本当は、一番好きな「マリア様がみてる」なんかの世界について、細かいところも語りたい気がするが、さすがにおっさんが熱く語るには、恥ずかしいので、自重しているのだ。
他。エロ小説についても、自由に思うが儘に語りたい気もするが、それも自分の中で歯止めをかけているだけだ。
ある程度の節度をもって、ブログを続けている。

人がするのは、微笑ましくても、自分がするのは勇気がいるのでね。
だからしない。
そういうのも大人の行為とも言えるかも。
ラノベの文体について自分の考え
自分は、最近ライトノベルから序々に距離をおこうと思っていたりするのですが、ホットな話題だったので、少し思うところもあったので少し書いてみます。

物凄いおおざっぱな議論の提示され方で、ライトノベルに文体があるのかという問いなら、あると答えて終わりそうです。

でも、問題としているところを、自分なりに解釈して、その問題を捉え直してみると、ライトノベルも問題意識をもって書かれているかという問いになる。

その問題意識というのは、何かということなんだが、

それはその作品を書く作家の拘りとか、その作品の売りととか、そういったものなのかな。
作家自身の事前のリサーチとか、その作家の書きたいものというものだろうかな。

そういうものを強く意識して、綿密にリサーチをする人がいる。ライトノベル作家ではなく漫画家だけど、江川達也さんなんかそうだね。

“全身漫画”家   江川達也    光文社新書

とか読んでいると、そういった事情がよく分かるわね。
他、BSで毎週放映している「マンガノゲンバ」とかでも、その作家の問題意識とか、拘りとかについて、触れているね。

けっこう作家は、苦労して作品を書いているものなんだ。(当たり前か)

では、読み手である読者は、そうなのかと言えば、そういう作家の世界観に共鳴を得て、深いところで理解する人も一部はいると思うが、
大多数は面白いか、面白くないかの判断しかしないのではないのかな。

自分も、ブログで感想記事を書いたりするけど、究極的には自分がその作品を好きか嫌いかということを述べているだけだね。
それは、大多数のブログでも言えるのでは。

でも、ラノベの文体とかいう言葉で、そのラノベの背後の世界まで踏み込んで言及しようとする人がいるのもおかしくないと自分は思う。

しかし、無数ある作品に、自分が本当に共鳴し、深い理解を述べられるものは、限られてくるし、
その作品の理解もその人自身の理解であって、他人も同じように共鳴できるものなのかというのは、不明であると言えるのでは。

やはり究極的に、その作品が楽しめたかどうかしか、語ることができないのではないのかな

こういったところは、全体を語るより、個々の作品を深く語れるかなので、幅広い理解が描かれるのかも。

ただし、「マンガノゲンバ」を見て、読みたくなるようなマンガが少なく感じるのいも自分だけじゃないと思うね。
それは、その作家をよく知らないからではないのかな。と自分などは思ったりするんだよ

では、どういうことを面白く感じるものなんだろうね。
つまり、気に入った作家のものを読むと、特に面白く感じるということになるんじゃないのかね。

自分が最近読んだ「悪魔のミカタ」の中で、神さまである神柱と少女たちが、カラオケでノリノリという場面があった。
読者である自分は、その場面を突っ込みながらも面白く感じられたが、そうは感じない人もいるし、他の作家がそういう場面を書いたら、自分はダメなのかも知れない。

その作家なら許せる。

ということがあるね。この人がこういうことを書いても良いし、もっと書いて欲しいとか思うもんね。
ライトノベルとかマンガとかでは、作家はそういうどこまで書いても読者は許してくれるのかを把握して書いているみたいだ。

そういう個々のケースの揺らぎが、ライトノベルを読む楽しみでもあるね。
なので、その作品を好ましく思っていない人が読めば、悪意を持って書かれることにもなるね。
でも、その人が好きか嫌いか、それをその人が許せるか許せないか、というだけの問題に過ぎないのかも知れないとも言えるわね。
そういうジャンルでもあると言えるわね


自分なりのラノベの文体の結論としては、
究極、好き嫌いでしか読めないのではないか
嫌いな話でも、良いところを見つけて読むというだけしかできないと思うね、
深い理解というより、ノリで理解とも言えるのかも
陽炎ノ辻
陽炎ノ辻    居眠り磐音江戸双紙      佐伯泰英     双葉文庫


このブログはライトノベルを主に取り上げているんですが、
ブログを書いている本人がおじさんなので、最近の創刊ラッシュとかにとついていけないくなっているみたい。
これからはライトノベル以外の比率が高くなりそう。
自分のブログを、贔屓にしてくれる人がいるのかどうかも不明ですが、一応ことわりをいれておきます。

そこで、おじさん族にとって人気の高い佐伯先生の本を読んでみた。
この小説はこの夏テレビドラマ化されるみたい。

この本は脱藩した浪人の用心棒稼業を描いた小説なのかな
いきなり友人の殺傷事件があり、物語世界にぐいっと引き込んだね。
武士階級も大変だね。
血の気の荒いのは、いかんわね。
でも、この小説の主人公の磐音は、温厚な性格で、その剣も強いのだけど、そう思わせないところがミソだね。

用心棒稼業と言えば、藤沢周平先生の「用心棒日月抄」という代表作があるね。この小説もそういったものを気をつけて書かれているのではないのかな。
このシリーズは20冊以上あるので、これからどう展開するか自分は分からないけど、一巻を読んでいる範囲では、まだまだ浪人になったばかりで、そんなんで厳しい浪人生活を生きていけるのかなと思うね。どんどん逞しくなっていくのかな。
他、別れた元婚約者のいくえも気になるね。

それと、佐伯先生は、田沼時代の銀の改鋳問題をここでテーマにしているけど、それも最近の歴史学の動向を踏まえたものだね。そういう経済問題にも取り組んでいるのが、おじさん族に強く支持されるのだろうね。

自分はこのシリーズは気に入ったね。
でも、沢山ありすぎるので、亀の歩みみたいに、崩していこうかな
今年の上半期に出版されたものについての雑感
もう早くも半年が経ったね。
世間では上半期に出版されたものに対する集計とかもしているみたいだ。
自分も便乗して今年の上半期に自分が読んだものの雑感を述べておこうかな。

自分の読書は、偏っているので、とてもじゃないが世間の一般の評価になりえないものとまず断っておこう。



今年出た新人の作品で感心したものは、

ミミズクと夜の王    紅玉いづき   電撃文庫

これはいい話だけど、ライトノベルなのかな


学園カゲキ!    山川進      ガガガ文庫

凄い洗練された話だったね。


自分はほとんど新人の作品を読まないので、
今年読んだ新人の作品の中では、後は「イヴは夜明けに微笑んで」他数冊しかないかも。この作品も良いものだと思います。


今年出た本で感心したものは、

カタリ・カタリ   萩原麻里    富士見ミステリー文庫

本当に打ち切ってしまうのかな、もったいない


えむえむっ!   松野秋鳴    MF文庫

変態さんの話だけど、気がついたらハーレム状態。



今年以前に出たもので自分が今年読んだものでは

クドリャフカの順番    米澤穂信    角川書店

ライトノベルではないのかな


少女七竈と七人の可愛そうな大人    桜庭一樹    角川書店

これもライトノベルでないかも


タイム・リープ あしたはきのう    高畑京一郎     電撃文庫

昔の作品すぎるかも



「空ノ鐘の響く惑星で 」シリーズ    渡瀬草一郎    電撃文庫

すごい身勝手な結末とパンプキンの魅力。熱い話だったね。



「乃木坂春香の秘密」シリーズ     五十嵐雄策     電撃文庫

これは、ただ自分が好きなだけなのかな。世間様は無視しているのかも



「悪魔のミカタ」シリーズ      うえお久光      電撃文庫

ものすごいほら話だと自分は思う。



ぼくらのみかたん。 黒森高校未科研です    富永浩史   富士見ファンタジア文庫

みかたんのかわいらいさに、くらくら。



SHI−NO アリスの子守唄   上月雨音   冨士見ミステリー文庫

SHI−NOちゃんシリーズでは、この2冊目が特に好きです。他は余り好きでないかも。



「銃姫」シリーズ      高殿円      MF文庫

今年読んだ中で、自分にとって一番衝撃的な作品だったね。



「神様のおきにいり」シリーズ    内山靖二郎     MF文庫

この作品は自分はかなり好き。この本の参考文献の柳田国男の「妖怪談義」まで繙いてみたくらい



「魔法鍵師(ロックスミス)カルナの冒険」シリーズ    月見草平    MF文庫

去年読んだ「桜乃きらほ」シリーズに続いて自分的には、ヒット。
月見さんの作品は自分の中では、無条件に追い続ける作家となったね。



「パラケルススの娘」シリーズ     五代ゆう    MF文庫 

この作品は自分的にはツボだったね。よく調べて書かれた良い作品だね。



カーリー 二十一発の祝砲とプリンセスの休日    高殿円   ファミ通文庫

出来の良い話で、一般の小説世界に出しても高い評価を得られるのでは
この作品は、もっと評価されるべき作品だと自分は思う



鬼切り夜鳥子2  京都ミステリーツアー    桝田省治    ファミ通文庫

これも一般の小説世界に出しても高い評価される本じゃないかな。ただし自分が好きな話ではないけどね。京都に土地勘がある人は2度おいしいのでは。



煌夜祭      多崎礼      中央公論

今時この小説の話をしているなんて、おかしいと思うけど、素晴らしい話だったので



ユーフォリ・テクニカ 王立科学院物語     定金伸治    中央公論

なんかスピリッツみたいなものを感じさせる熱い話だったね。



「ヤングガン・カルナバル」シリーズ    深見真      徳間書店

面白さにかけては、自分的には最高評価だし、悪人の魅力を存分に語っているね。
特に主人公たちより確実に強い豊平琴刃の魅力は、どう表現したらいいのかな


他「マリア様がみてる」シリーズとか「涼宮ハルヒ」シリーズは、自分的には別格なので
あえて外しました



悪魔のミカタ666 2  スコルピオン・テイル
悪魔のミカタ666 2     うえお久光      電撃文庫

スコルピオンシリーズの2冊目を読んでみた。
前巻読了時に、ラブコメ展開になったことと、菜々那さんが活躍するのではないかと思ったのだけど、
単純なラブコメ展開にならなかったが、菜々那さんは活躍したね。
生徒会長選に立候補。波乱の展開をまた予想させたわね。

イハナさん、綾さん、小鳥遊さん。
女の子の恋する気持が素直に吐露されていたね。
ここで、おっさんの自分が言いいたいのは、君たちの将来は明るいぞ。ということかな
フィックション世界にいっても仕方ないけど。

グレイテストオリオンの問題が、こんなに大きかったというのは予想外だったね。意外な人物も再登場してきたし、更なる展開が見えにくくなったが、わくわくさせるものになったね。
「ザ・ワン」でのつながりもあるし、伏線が張られているみたいで、どのようにつながっていくのなあ。
それに、コウさんと洋平さんの野球対決ってなんなんだろうね。
コウさんが超人だったのは確認できたね
サッカー対決をへて、バスケット対決もあるみたい。
多分読者は、この対決に対しては興味をもっていないのでは



普通の感想はここまでで、これから自分の勝手に思ったことを抜き出して書いていくと


まずコウさんのふんどしに対するこだわりについて

・古より伝わる日本の男の下着、ときに魂ともいいあらわせられる一品は、ふんどしという。伝統を誇るスタンダードな六尺ふんどしを手に、コウは鏡を前に陣取り、締きはじめる



・ああ、確かに最適、おまえに問題がないなら、私も望むところだぞ?

その問題が、問題なんだけど




・「堂島コウ」は、笑わせる男ではなく笑われる男になり代わる。きっと神さまなんていないんだ。

最近の大阪では、昔の芸人と今の芸人を比較してこういうことを言う人がいるが、コウさんは、お笑い芸人を目指すわけじゃないのだからいいのではないのかな




・………わたし、その、いやなわけじゃ、ないよ?

ではどういう訳なんですか、読んでいて思わず突っ込んでしまったわね




・勝利とは、得がたいものほど美味であることは間違いない。

こういうことを考えるのは、悪人である証拠ですぞ、イハナさん



・試せるのは、いまだけです。
大人になると、いろいろなしがらみができてしまうと神父さんはいいました。そのせいで、気がつくと、試したくても試せなくなり、どこにでもいけるはずだった、なんにでもなれるはずだった無限の可能性はなんにでもなれるはずのまま、使われることなくしまわれて、あとはボクみたいな子供を見てワクワクするしかないのだと

菜々那さんは、強敵だなあ。ここにきて好感度もアップしているぞ

誰か
誰か 宮部みゆき 光文社


久ぶりに宮部さんの本を読んでみた。
「模倣犯」くらいまでは、出たら即買っていたんだけど、最近読んでいなかったなあ。
といってもこの「誰か」は、最近の本ではないね。
自分は、「クロスファイアー」とか「模倣犯」の面白いのだけど、どこかやるせない感じについていけなくなったのだけど、この本はそういうものではなく、一応探偵ものだけど、それほど深刻な題材を扱っていないし、基本的に善良な人々の話で良かったとも言えたね。

簡単に内容について書いてみると
巨大コンツェルンの娘と結婚していた主人公は、その会長の専属運転手だった梶田信夫が、暴走してきた自転車で轢き殺されてしまい、その犯人のいくえも分からない事件があった。その梶田の娘たちが、父についての本を書きたいらしいから、相談にのってほしいと会長から主人公は頼めれた。主人公は、梶田の過去を探索し始めた………

データーベースにも、このように書いているから、これくらいは明らかにしていいのかな。
でも、この小説は、全ての謎を明らかにしても、いいのかも。
宮部さんの語りの上手さと、主人公とその妻子の暖かい家庭(特に娘の桃子ちゃんがかわいいね。)とかの情景がなければ、なんじゃそれと言う人がけっこういるのでは。
新書で出ているものだから、そんなにハードな内容は期待されていないかも知れないので、それでもいいのかな。

この小説の主人公みたいな人が、幸運児というのかも。
生活に困らず、仕事もけっこう気に入っており、愛すべき妻子がおり、周りは主人公の理解者ばかり。そういった環境もこの主人公のでしゃばらない性格だし、優しい心情が作り上げたものだとも分かるね。
この本をそういった面で気楽に読める本ではある。
でもなんか、一味足らないなあ。
黄土の奔流
黄土の奔流      生島治郎      角川文庫


「紅」の続刊がなかなか出てこないので、同じ紅の姓を持つ主人公の小説を読んでみた。
片山憲太郎先生の「紅」の主人公の名前は、紅真九郎。そしてこの本の主人公は紅真吾。
これはかなりの確率で言えると思うけど、この「黄土の奔流」になんらかの触発を片山先生が受けたのは、確実じゃないかなあ。

舞台は1920年代の上海。この小説の主人公は30過ぎのおっさんで、昔よくいたと言われる大陸ゴロ。
大陸での夢破れ、真吾が破産したところから物語は、始まる。
ひょんなことから、悪い女に騙されそうになっていた商社マンの男を助けたことにより、中国奥地に豚の毛を買い付け、それを日本本土に転売して大もうけする話を持ちかけられる。真吾は人を募集し、募集に集まった男や車夫たちと買い付けに中国奥地に旅立つ。

という内容で、その当時の中国内部は、無政府状態で、匪賊たちが跋扈している世界で、真吾たちはそこで、大変な目に合うし、上海で集めた男たちも、いろいろと謎を持つ男たちだった。

血わき肉踊る。今風では、パイレーツオブカリビヤンの日本中国バージョンといったところなのかな、はげ上がった男とか、風采の上がらない奴を連れた旅で、見るからに華やかさがないけどね。

この本は、大分前に出版されたものらしいね。
昔から、よくおっさんたちの話によく出ていた本だった。興味はあったが、読まないで済ましていたが、今回手に取ってみて正解だったわ。
おっさん族には堪らないツボを押さえている。
出てくる女性が、ちょい悪。かなり悪。男もちょい悪、ちょいバカ。かなりバカが出てくる。
出てくる人物が生き生きしているわ。
人間は、悪いことしないと元気にならんものなんだわ。

こういうことは善良な人には受け入れがたいことかも知れないが、想像の世界くらい悪でありたいわね。
それに、主人公の真吾も筋を通す人だし、車夫の無学でバカの飯桶にも友情を持って接し、あくまで人間本意で人と接していく。(かっこいい!!)
おっさん族のツボだわ。

葉宗明という男がここでは鍵を握っているし、2人の奇妙な距離のとり方も、大人の男というものの世界を描いているね。青少年には、分かりづらい関係だわね。(実はおっさんの自分もよく分からなかったりして)

生島先生は、生きた中国というものを実感をもって描いているね。
こういう等身大の中国を知るという、たしかに動乱期の中国で今と違っているとも言えるが、メンタリティというものを知ることはできるのも有益だね。

この本には、続刊もあるらしいけど、手には入りづらいものみたいだ。
なんとか入手して読んでみたいわね。


抜き出してみると

・あえぎに似た声で朱芳は言った
 「そんなふうにされるのはいや」

そういうことを言わせますか、真吾さん。

魔法遣いに大切なこと 1
魔法遣いに大切なこと 1    枯野瑛/著 山田典枝/監修    富士見ミステリー文庫


さきほど休眠すると宣言しておきながら、またアップします。
先ほどの宣言撤回します。
が、これからの更新は、ぼちぼちやっていく予定です。

この本の内容は、
公認魔法師の研修生の菊池ユメは、ある女性の祖父からの遺言されたものを探す依頼の下調べをする。

この物語は、アニメ化されたもののアナザーストーリーといった位置づけなのかな

魔法遣いものなんだけど、凄く穏やかな話で、魔法をモチーフにしてもさりげないわ
バタバタとバトルとかで使うものじゃない。
自分はこういう使われ方の方が好きだわ。

探偵ものみたいで、祖父が残した遺産が、無形なものなんだけど、そのものは、孫である女の人にしか役立たないようなもの、唯一無二なものであるところが、ミソだね。

ユメちゃんも誠実な人柄だし、この話で出てくる人はみんな基本的に善良。
いいわー
小説世界はこうでなくちゃね


抜き出してみると

・「……勝手にそんな課題を決めたんです。私。それができれば立派な魔法遣いになれるかもしれないって。でもダメでした。」
「結局、大切なことには最後まで気づきませんでした。」


自分の好き度は8くらいです。