影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
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半分の月がのぼる空 8
半分の月がのぼる空 8  橋本紡  電撃文庫

ネタばれがあるので、気になる人は読まないでください。

半分の月ののぼる空の最終巻。
ここでの話は、7巻と同様に後日談。
本編が終わり、高校の学園祭の顛末。理香と裕一が出会う前の話。2人と関わりのあった人たちの話。
そういったことを描いた短編で綴られている。

7巻で前編があった「雨」という短編の後編がこの8巻にあって、これが本当に2人の話のラストストーリーなんだろうね。
ニコニコ笑っている理香。
この幸せがいつまでも続くといいのに。

自分が最終巻までつき合ってしまったのは意外だなあ。
1,2巻で結論が見えた話で、そう大きい事件が起こる話でもないのにね。
つらつら考えるとやはり看護婦の亜希子さんの魅力かな
この8巻ではそんなに活躍しなかったのは、残念。
かわりにエロ爺の多田さんが活躍。
多田さんのエロ本を守る為の話もこの巻に収められている。

作者は、エロ本やポルノ上映に拘るね。男がエロ事で団結する生き物と思っているのかな。現実はそんなにエロでは結束しないと思うのだけど

半分の月ののぼる空は、童話なんだろうね。
いつもきれいな世界。人の情感がそのまま優しく伝わる世界。
現実は必ずしもそうではないのだけど、理香の周り、裕一の周りはそうであって欲しい。

最後にもう一つ希望を言えば、亜希子さん主人公でまた話を書いてくれるといいのだけどねえ。
この人は得難い人物と思うのだけどねえ。
れでぃ×ばと!
れでぃ×ばと!  上月司  電撃文庫

ネタばれがあるので気になる人は読まないでください

この話は、貧乏で天涯孤独になった少年が、授業料無料全寮制ということで、元超お嬢様学校と言われる白麗稜学院に入学する、しかし少年が入ったのは従育科。つまりメイドや執事を養成する学校だった。そこで昔少年は、とんでもない事務員兼理事長を筆頭に、昔少年をいじめていた少女や、様々な変わった輩に出会う。

まだまだ物語は続きそうなので、この巻では人物紹介が中心だったね。
ごちゃごちゃいろんな属性の人間が出てきて、主人公の少年の周りはにぎやかだね。でも、中心は幼なじみの少女、かって少年に極悪を働いて、今は猫を被っている少女彩京朋美と英国貴族の血縁であるセルニア=伊織=フレイムハートだろうね。
フレイムハートはいきなり暴走して主人公を困らせ、目立たさせナルシストの風祭灯一郎を刺激させ、主人公日野秋晴に対抗意識を植え付ける。

勝ってに人物が自動的に動いているみたいだ。
見え見えの展開だろうけど、心地よくその通りに人物が動いていくねえ

自分はメイドには興味は余りないけど、執事には少し興味はある。特に最近話題になった執事喫茶というものには引かれるなあ。
小説そして映画にもなった「日の名残り」の老執事みたいな執事に会ってみたいなんて思っている。
そんな人種はもう絶滅してしまっただろうけどね。
でも執事養成の学校というと少し惹かれてもしまう。なので本書を読んでしまったのだ。

感想は、執事という職業に対する思い入れを描くというより、ラブコメだね。これは予想されたことだけど、ちょっとは執事とは何かというのもあって欲しいなあ。次巻以降期待しよう。
そうそうマンガの「ハヤテのごとく」みたいなちょっと方向がずれているけど、執事のあり方を描くというのもやって欲しいね


制覇するフィロソフィア
制覇するフィロソフィア  定金伸治  集英社スパーダッシュ文庫

ネタばれがあるので、気になる人は読まないでください。

一部で評判になっていたこの本を読んでみた。
かなりぶっとんだ内容で、この話をどう語ったらいいかのか書きにくいものだね

内容は、その世界は、将来の帝を育成する帝塾の中ででの話で、そこは女を磨く場で、女とはどういうものでならなくてはならないのか、各人がそれぞれ「哲」(フィロソフィア)を持ち熱く語り闘わされている。そこに御間城和が親友の水縄皆見とやって来た。その帝塾で13房筆頭で現帝の御子の阿毎天葉が殺される事件が起こる。塾長獅戸エールは即その捜査を命じたのだった。

この小説の自分の上記の要約では、一部しか語られていないわね。ここに幾重にもいろんな物語が交差し。どんでん返しがあり、次巻以降に続いていく。
まあその醍醐味は実際読んでみた方がいいと思う。

この本の魅力は、くどいように語られる「哲」(フィロソフィア)だね。最初はへえへえ(トリビアの泉か)と思っていたけど、そのうちに、え、え、え、となり最後のほうでは、???となる。

マンガの「魁!男塾」みたいに始まって、友情・努力・勝利という少年ジャンプの金科玉条を踏まえ、プラトンのイデア、アメリカのプラグマチィズムや弁証法の正反合などが語られる。
それでいて漢としての女の姿。美しくあれ、そして美しく死ねなんて言っている。

その辺を理解する為に抜き書きをしてみると

・「哲」とは、この世界に住む人間が拠り所とする根本原理である。
言動の基盤となり、あるいはその人物のすべてを包含する理。器量であれ暴力であれ情愛であれ、すべては各々の「哲」から生じる。

・理解が、現象として表れる。理解の差は、力や感覚の差となる。

・女は高みへと登るのが仕事だ

・道徳は、弱者が強者に対して、自分は「道徳的な善い人間」であると評価することで、なんとか強者を見下す「妬み」から生じている。

・正義は曲げられる。しかし情愛は曲げられない。

・漢たる娘に対して、憐憫の言葉は虚飾である。ただ美しく死ぬことを信頼するのみなのだ。

・もう二度とこの世を、獣のごとき人間が徘徊する暴力の世界にしてはならない・「男」は、死滅されなければならぬ種なのだ。

いくらでも、はっと思うような言葉、面白い言葉を拾える。
名言集としても面白い本かもね。
自分は次巻が楽しみだけど、独創的過ぎる話なので一般受けしないかもね



だめあね
だめあね  葛西伸哉  ファミ通文庫

ネタばれがあるので、気になる人は読まないでください。

題の「だめあね」というので全て表現できる話だけど、自分的にはこの姉はやることが破天荒だけど、経営者として全くの無能とは思えなかったりするんだよね。

内容は、主人公の姉が留学先のアメリカから帰ってきたところから始まり、その姉の秘書を名乗る女性を引き連れ、次々とへんてこな商売に乗り出す。主人公は見ていられないので姉を助ける羽目になり、ついでに今までの下宿先の親戚の娘、幼なじみの生徒会長などを巻き込むことになってしまった。

このだめ姉は、やたらメイドに拘っていて、メイド寿司、メイド銭湯、メイドお化け屋敷なんてものをプロデュースする。結構粘着的な人なのかも

ドタバタコメディが好きな人にはいいのかも知れない。
イラストのうなじさんの絵もかわいいしね

でも設定が唐突なので、なんでもいきなりなんだよね
そういうところをもっと丁寧に書いていると、もっと良かったのになあと思うね。
主人公が2人の少女に暗に言い寄られて、分からないというのは、無神経過ぎていて読んでいてこちらもいらいらするくらいだし、秘書の智乃さんがこの姉に心酔しているのかも不明だ。

いろいろ問題のある話であることは確か
ストライクウィッチーズ
ストライクウィッチーズ 著ヤマグチノボル 原作島田フミカネ&Projekt Kagonish

ネタばれがあるので気になる人は読まないでね。

副題が「スオムスいらん子中隊がんばる」とある内容を端的に表現している。

内容はパラレルワールドの地球の話で、謎の侵略者ネウロイによって各国は危機に陥った。特にカールスランド(ドイツと思われる。)は激戦だった。そこに派遣されることを望んだ扶桑皇国(日本と思われる。)穴拭智子は親友の加藤武子によって、その独断行動ばかりする性向から危険と思われ、戦闘が余りないと思われたスオムス(フィンランドと思われる。)に派遣されることになった。派遣されたスオムスには、各国から派遣されたいらん子たちの吹き溜まりだった。智子はその現状を良しとせず、単独で戦闘をするようになる。しかしネウロイの大型武器の前では、そんな個人の努力ではなんともできないのだった。果たしてどうする。

結論は伏せたが、どうなるかは分かるわね

物語のツボと流れ、特徴のあるキャラクターの配置。そういうものを踏まえた安定した話だね。
だから、最後はどうなるのかも分かってしまうのは、欠点なのかもね。

同じ、ヤマグチノボルさんの以前の作「つっぱれ有栖川」は相撲の話だったけど、よく似た読後の感想になるねえ
キワードは友情かな

続きがでたならまた読みたいとは思うね。
きららの仕事 13
きららの仕事 13  原作 早川光 作画 橋本弧蔵 集英社

白熱の鮨マンガ。
この巻では、坂巻ときららちゃんの鮨決戦の中盤戦が描かれている。
5戦先勝で勝ちのこの鮨バトル21に2戦を連敗したきららは、第3戦目のタコ勝負で先に握ることを申し出る。ここで江戸前の仕事にこだわるきららは会心の握りを披露するが、坂巻は京懐石の技。タコを大根でたたき、ぬめりを取り柔らかくし、更にタコの足でなく頭を握るという離れ技を繰り出す。きららはここでも負け。
追いつめられたきららは、次ぎの白身対決で江戸前の技に拘らない握りをすることを決意し、坂巻のトラフグの多層握りに対し、オニオコゼを同じく多層握りしたものを出す。きららはここで3層のうち一層は熟成させたものを出すという考えられた最善の握りだったはずだが、ここでも引き分けに持ち込むのがやっとだった。
白身対決は再戦となり、坂巻が先に握ることになり、ここでカレイの貴公子ホシカレイを握る。きららは北邑さんが用意したカレイの皇帝マツカワを握る。そこであっと驚く握りををする。ここで次巻へ続く。

ながながと内容を書いてしまった。
本当に白熱しているねえ。
このマンガ特に鮨バトル21になってから、次から次ぎへと神業、離れ業の連続だ。
鮨の世界の奥深さが分かるし、原作者の早川さんの知識の浩瀚さには驚くばかりだ。
なんと言ってもおいしそうたらないよね。これは同じ鮨マンガの「将太の寿司」に出てくる鮨が頭の中でのみ成り立つ概念的なものであるのに対し、このマンガの鮨は、鮨の名店や最先端の職人に念に取材した真においしそうなものばかりだ。これはマンガであるけど、後世へ残しておくべき資料的な価値も高いものだと思う。

それと、江戸前鮨とは何かというもの。その現代的な意義について、若い世代が伝統を盲目的に受け継ぐのではなく更に発展的に継承する。そういった他の分野でも問題になっていることについても書かれている。

絶賛の嵐になってしまった。

ただ鮨にそんなに興味ない人は面白いと思うのかというと少し疑問。
絵もきららちゃん女の子というより金太郎さんみたいになってきているしね
のだめカンタービレ 16
のだめカンタービレ 16  二ノ宮知子  講談社

ドラマが始まった、今話題ののだめカンタービレの16巻を読んでみた。

ここでのはなし千秋さんが、フランスの駄目オーケストラのマルレーオケで悪戦奮闘する話がメインで、その他様々な人物がちょこっと、ちょこっと出ている。

ここでの一番のおかしいところは、マルレーオケで、ウイリアムテル序曲の練習しているところだね。この曲はスイスの独立運動がテーマの曲なんだけど、その圧政者と千秋さんを重ねているのがおかしいよね。ついに定期演奏会で団員の鬱屈したパワー炸裂。

戦いは終わり「嵐」が去ったアルプスの山々に光る白い峰と穏やかに広がる青い空の「牧歌」
ここの場面の後、スイス独立軍の行進曲。
観客は喝采。

何かしらんけど上手いなあ。
つらい練習の日々を乗り越え、千秋さんは団員と一体化したのか。

で、ここで千秋さんの別れた親父が登場して次巻へ続く。

この流れ、絶妙だね。
なんか間の取り方が神がかっている。
おもしろ人物も多いし、ゆかいなマンガだ。

ドラマも一話見たので、少し感想を。
原作にかなり忠実に作られている。
でも、やはりマンガとドラマは別物だなあ。
面白いドラマだとは思うけどね。
滅びのマヤウェル この愛がナイフでも
滅びのマヤウェル この愛ナイフでも 岡崎裕信 集英ダッシュ文庫

マヤウェルシリーズを続けて読んだ。
かなり変わった話だけど、面白いのでついつい読んでしまったね。

ネタばれがあるので、気になる人は読まないでね。

ここでの内容は、黒崎黒子という女性が、倉持ユーキのところにやって来る。この黒子という女性は、マヤウェルのライバル、いやいや宿敵といってもいい存在で、果たして2人は殺し合いを始める。折角マヤウェルの術で、男に見られるようになっていたのに、無式を発動させて、それを台無しにしても、マヤウェルを助けることになってしまった。

これでは、よく分からないわね。
でも、この話。盛大に戦っているのよね。龍とか出てきたり、ほんま凄まじいわ。

倉持ユーキは女の子なのに、マヤウェルの術で男の子の気持ちになり、女の子に懸想
したりと、ふらふら優柔不断だから、この災難を招いたのかな
いや、黒子とマヤウェルの決闘は、宿命だわ。きっと

この続きあるのかな
伏線があるみたいだけど、どうなのかな
続編出たら自分は、また読みたいけど

この小説は前編を読まないとよく分からないし、好き嫌いが分かれる話だろうね
おそらく嫌いという人のほうが多いのではないのかな


滅びのマヤウェル その仮面をはずして
滅びのマヤウェル その仮面をはずして  岡崎裕信  集英社ダッシュ文庫

「フレイアになりたい」を読んでよく分からないところが多々あったので、この作者の前シリーズの本を読んでみた。
なるほど、神格能力というもの、フレイアに出てくる快楽殺人者という存在がどういうものか分かった。

ネタばれがあるので、気になる人は読まないでください。

ここでの内容はというと、説明しづらい話なんだよね。
主人公ユーキは、本来女の子なのに男の子として育てられ、男としていくのに限界を感じている。そしてユーキは無色という能力を持つ。ユーキに恋する玉樹は昔実父に虐待された過去を持ち、それがきっかけで神格能力を持つ。ユーキの下に最強の神格能力をもつ真綾が居候することになった。ある日玉樹がユーキの告白して断られたことから大事件が起こった。

この最後のマヤウェルが出てきたところから、怒濤の展開になるね。
もの凄い力業。龍は出てくるし、鯨もシーラカンスも出てくる。
ぎったん、ぎったん
真綾が、最後ユーキとの友情が、食欲というより殺人欲に勝って、何もかもぶち壊しにならずに良かったということなんだろうけど、
現実自体が揺らいだくらいの衝動だね。

フレイアのときも、ディックの宇宙の眼なんか持ち出す。認識により世界自体を作り変える。(←何のこっちゃ)
ここでも、玉樹と真綾の対決は何でもありだ。

それでいても、最後は何とか纏まっている不思議な話だね。

ここでも、ちょっと本文を抜き出しておこう

・僕らはきっと嘘をついて、自分にも他人にも嘘をついて、そのがんじがらめの中で生きていくことを定められた………地球上で最もお馬鹿な生物なんだ。
 だから今日も嘘をついて、だから明日も嘘をついて。自分の本当の姿がわからなくなるくらいまで、ありとあらゆる仮面で完全武装して生きていく。
 そんな調子の僕らだから、いつだって素直が眩しくて、いつだって正直が羨ましくて、純粋さに嫉妬して、………目を背けて、でも目を背けきれずに苦しんでいる。
暗闇にヤギを探して
暗闇にヤギを探して  穂史賀雅也  MF文庫

第2回MF文庫Jライトノベル新人賞(優秀賞)受賞作らしい
帯には、草加くんてぼーっとしているね? と書いている。

ネタばれがあるので、気になる人は読まないでね。
ほのぼのとした作品だね。
自分はこの物語気に入った。
ふにゃふにゃしたところから始まり、少しシリアスな展開になり最後はハッピーエンドになってしまう少し不思議な物語。

内容は、普段からぼーっとしている草加くんは、教室に置いていっノートが千切られてなくなっていることを発見した。そこには手紙が添えられていた。「ごめんなさい。おいしかったです。」とあった。心優しい草加くんはそれからルーズリーフにその日に筆記した分を残して置いてあげた。実は生徒会長の千歳さんが食べていたのだった。

何のこちゃという話だね。
普通これだけ変な話で、出てくる人も着ぐるみを着るのが趣味のおさななじみ。カエルグッズが好きな草加くんのお姉さん。と一癖ありそうな人ばかり出てくる。

話が破綻してもよさそうなのに、見事話が収束した。
それだけでなく、ほのぼのとした余韻を残す良い終わりかただ。

素晴らしい。

このやさしい草加くん。そして取り巻く優しい人々。その世界。
それにちょっと近づきたくなった。ちょっと生きることに傷ついていた千歳さん。
ハートウォーミングだなあ。
この後、自分は続編が書かれたら必ず読もうと思った。

ここでも少し抜き出します。
・水が無い場所でいくら地面を掘っても水は出ないでしょ? それと同じように自然に他の人に優しくできる人とできない人がいるのよ。生まれついての才能みたいなものね