制覇するフィロソフィア 定金伸治 集英社スパーダッシュ文庫
ネタばれがあるので、気になる人は読まないでください。
一部で評判になっていたこの本を読んでみた。
かなりぶっとんだ内容で、この話をどう語ったらいいかのか書きにくいものだね
内容は、その世界は、将来の帝を育成する帝塾の中ででの話で、そこは女を磨く場で、女とはどういうものでならなくてはならないのか、各人がそれぞれ「哲」(フィロソフィア)を持ち熱く語り闘わされている。そこに御間城和が親友の水縄皆見とやって来た。その帝塾で13房筆頭で現帝の御子の阿毎天葉が殺される事件が起こる。塾長獅戸エールは即その捜査を命じたのだった。
この小説の自分の上記の要約では、一部しか語られていないわね。ここに幾重にもいろんな物語が交差し。どんでん返しがあり、次巻以降に続いていく。
まあその醍醐味は実際読んでみた方がいいと思う。
この本の魅力は、くどいように語られる「哲」(フィロソフィア)だね。最初はへえへえ(トリビアの泉か)と思っていたけど、そのうちに、え、え、え、となり最後のほうでは、???となる。
マンガの「魁!男塾」みたいに始まって、友情・努力・勝利という少年ジャンプの金科玉条を踏まえ、プラトンのイデア、アメリカのプラグマチィズムや弁証法の正反合などが語られる。
それでいて漢としての女の姿。美しくあれ、そして美しく死ねなんて言っている。
その辺を理解する為に抜き書きをしてみると
・「哲」とは、この世界に住む人間が拠り所とする根本原理である。
言動の基盤となり、あるいはその人物のすべてを包含する理。器量であれ暴力であれ情愛であれ、すべては各々の「哲」から生じる。
・理解が、現象として表れる。理解の差は、力や感覚の差となる。
・女は高みへと登るのが仕事だ
・道徳は、弱者が強者に対して、自分は「道徳的な善い人間」であると評価することで、なんとか強者を見下す「妬み」から生じている。
・正義は曲げられる。しかし情愛は曲げられない。
・漢たる娘に対して、憐憫の言葉は虚飾である。ただ美しく死ぬことを信頼するのみなのだ。
・もう二度とこの世を、獣のごとき人間が徘徊する暴力の世界にしてはならない・「男」は、死滅されなければならぬ種なのだ。
いくらでも、はっと思うような言葉、面白い言葉を拾える。
名言集としても面白い本かもね。
自分は次巻が楽しみだけど、独創的過ぎる話なので一般受けしないかもね