マイケル・ルイス 著 藤澤将雄 訳 河口正史 監修
この本は、映画化もされているらしいのですが、自分はそれは見てません
ですが、この本を原作にして映画を作るなら、ヒューマンな話になるのだろうとは想像できます
この原作を、映画のイメージで手に取って、読み出したら、アングリしてしまう人ばかりでしょうね。
最後まで、読み通せた人は、少ないのじゃないかしら
この本は、アメフトの戦術の変化、進展を軸 にしている部分と、マイケル・オアーという黒人の青年が、裕福な白人の家庭で、育まれ、アメフトのプロになっていく部分に分けられています。
その接着の為のキーワードが、ブラインドサイドを守る、レフトタックルというポジションの役割です
正直、その接着の部分が、上手くいっているとは、自分には思えなかったので、この本の読者は、ヒューマンなオアー青年の生い立ちと成長を軸にして読むのか、それとも、アメフトの戦術についてと、歴史的な変化についてを軸にして読むかに分かれてしまいそうです。
アメフトファンの自分は、戦術的な変化の方に興味を持って読んだ方だと思うのですが、多くの日本人には、馴染みにない出来事が語られているのでしょうが、実は、これらの部分も、普通のアメリカ人のアメフトファンなら、常識的な話のように思われますね
ローレンス・テイラーの出現による、オッフェンス、デッフェンスの変化なんか、当たり前のことですもんね
それから、どうなっていったかが、この本の本当に味わうべきテイストなんですか、著書の関心は、素早いオフェンス。49ERSの攻撃システムの完成、テイラーを押さえるべきレフトタックルというポジションの地位の向上についての著述が中心になっていたように思えますね
自分は、テイラーの出現により、より包括的なデェフェンスシステムの劇的な進化、徒花かもしれない多様なシステムの出現をみたことにより、面白みを感じていいます
つまり、圧倒的な個人が出ると、それに沿った守備を構築するチームが出てきて、突発的にありえないような奇天烈なチームが、テイラーの出現後出てくるのですね
最も面白いの1980年半ばのシカゴベアーズとか、最近では、数年前のニューオーリンズセインツとかの、それぞれの守備、攻撃システムとか、1990年代に流行した、ランアンドシュートオフェンスとかがあるのですが、それらは、実にユニークでして、スポーツの醍醐味を示していたような気がします。
アホみたいに能力がある選手を奇貨として、全部チャンジしてみようと考えるところ、そこのところが、アメリカ人は、実に天才的でして、おそらく、そこは日本人が追随できない部分ですね
多くの日本人は、アメフト、そしてアメリカのスポーツそのものについての理解が、日本とは違うことに気にしてませんので、同じ地平で考えるから、いつまでたっても、アメフトは、ルールが分からないと堂々と述べてしまう人が絶えないのですが、お互いのスポーツに対する見方が、相違しているのだから、仕方ないとも言えそうです
オアー青年の生い立ちの部分は、おそらく、この本で読むより、映画を観た方が、より共感できそうな気がしますので、そのうち、レンタルビデオで見ることにしようと思いました。