影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
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「黄金のバンタム」を破った男
 百田尚樹      PHP文芸文庫


この本は、少し前に、本屋で一番目立つところに平積みされていた。 テレビドラマの原作本だと堂々と宣伝もされていた。

まずドラマを見たのですが、それが、ちょっと残念というか、出ている出演者が、ミスマッチだなあ。主役の役者さんは、ファイティング原田さんとは、イメージが違いすぎるでしょう、
失礼なんですが、そんなにスマートだったら、当時あんなに大衆は、熱狂しなかったような気がする

今の時代は、アスリートも容姿が求められ、格好の良い選手の方が、断然扱いが大きい。実より名、見た目が重要だとも言えそう。
この本が、扱っている昭和30年から40年は、見た目ももちろん重要であったとも思うのですが、戦う姿勢、その戦闘スタイル、実直な生き方の方に、より大衆は惹かれた。
良い意味で、実に男っぽい時代。
当時は、日本人全部、生きるのが精一杯、がむしゃらに前に進むしかない時代だったんんだと、当時のファイティング原田さんを筆頭に、多くのボクサーの生き様を描いていました

こういう本を読んでいると、当時のボクサーを見て知っている人は、実に幸せな人たちであると思わせてくれますね
良い時代だったんだとも言えそう。
過去を郷愁的に見るだけでなく、今と対比して、多くの良いところと、今は失われてものも実感できます
ただし、愚直で馬鹿なところもあったとも言えそうですね
ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟
マイケル・ルイス 著  藤澤将雄 訳  河口正史 監修


この本は、映画化もされているらしいのですが、自分はそれは見てません
ですが、この本を原作にして映画を作るなら、ヒューマンな話になるのだろうとは想像できます
この原作を、映画のイメージで手に取って、読み出したら、アングリしてしまう人ばかりでしょうね。
最後まで、読み通せた人は、少ないのじゃないかしら

この本は、アメフトの戦術の変化、進展を軸 にしている部分と、マイケル・オアーという黒人の青年が、裕福な白人の家庭で、育まれ、アメフトのプロになっていく部分に分けられています。
その接着の為のキーワードが、ブラインドサイドを守る、レフトタックルというポジションの役割です

正直、その接着の部分が、上手くいっているとは、自分には思えなかったので、この本の読者は、ヒューマンなオアー青年の生い立ちと成長を軸にして読むのか、それとも、アメフトの戦術についてと、歴史的な変化についてを軸にして読むかに分かれてしまいそうです。

アメフトファンの自分は、戦術的な変化の方に興味を持って読んだ方だと思うのですが、多くの日本人には、馴染みにない出来事が語られているのでしょうが、実は、これらの部分も、普通のアメリカ人のアメフトファンなら、常識的な話のように思われますね
ローレンス・テイラーの出現による、オッフェンス、デッフェンスの変化なんか、当たり前のことですもんね
それから、どうなっていったかが、この本の本当に味わうべきテイストなんですか、著書の関心は、素早いオフェンス。49ERSの攻撃システムの完成、テイラーを押さえるべきレフトタックルというポジションの地位の向上についての著述が中心になっていたように思えますね

自分は、テイラーの出現により、より包括的なデェフェンスシステムの劇的な進化、徒花かもしれない多様なシステムの出現をみたことにより、面白みを感じていいます
つまり、圧倒的な個人が出ると、それに沿った守備を構築するチームが出てきて、突発的にありえないような奇天烈なチームが、テイラーの出現後出てくるのですね
最も面白いの1980年半ばのシカゴベアーズとか、最近では、数年前のニューオーリンズセインツとかの、それぞれの守備、攻撃システムとか、1990年代に流行した、ランアンドシュートオフェンスとかがあるのですが、それらは、実にユニークでして、スポーツの醍醐味を示していたような気がします。

アホみたいに能力がある選手を奇貨として、全部チャンジしてみようと考えるところ、そこのところが、アメリカ人は、実に天才的でして、おそらく、そこは日本人が追随できない部分ですね

多くの日本人は、アメフト、そしてアメリカのスポーツそのものについての理解が、日本とは違うことに気にしてませんので、同じ地平で考えるから、いつまでたっても、アメフトは、ルールが分からないと堂々と述べてしまう人が絶えないのですが、お互いのスポーツに対する見方が、相違しているのだから、仕方ないとも言えそうです

オアー青年の生い立ちの部分は、おそらく、この本で読むより、映画を観た方が、より共感できそうな気がしますので、そのうち、レンタルビデオで見ることにしようと思いました。
祖父・小金井良精の記
 星新一     新潮社


写真は河出文庫のものですが、呼んだのは新潮社のものであります。
人気作家の星先生の本なんですが、祖父を扱ったこの本は、一般人が読むには、敷居は高いものだったのかも知れませんね
明治・大正・昭和の家族の年代記であると同時に、祖父の交遊録でもありました
文脈外で、祖父は何を思って生きてきたのかを想像させるような書き方。
残された膨大な日記を下にして、注記すべき事項を淡々と綴ってました。

自由に書ける、日記が綴られるドイツ留学の船中までの方が、自分としては、面白く読めましたが、明治維新の激動。祖父の家の歴史、藩の歴史が、尋常ではなかったからでしょうね

偶には、骨のある本も読まなくちゃいけないし、実際この本には感銘を受けたものも多かったので満足です。