谷崎潤一郎 犯罪小説集 集英社文庫
本屋さんに行くと、いろんな文庫のフェアーをしていました
夏の学生たちの読書感想文目当てなのかしら
つらつら眺めていると、異質な本を発見した。
この本はまずいでしょう。場違いだ。
取り敢えず購入して、家で中身を見てみると小冊子が挟んでおりまして、今回の集英社文庫が、特定作家のセレクトだったようです。
この谷崎の犯罪小説集が、なるほどと納得しましたが、ブッ飛んでますね
学生にこれを読ませて、どうするねん。
昨今の芥川賞受賞作が、変なものが多いのですが、これはそういう変なものの極致で、こういうのを戦前にじゃんじゃん書いていた作家がいたのは、どうしたものなのかしら。
自分の読解力の衰退を感じる今日この頃。
ちょっとハードなものを読んで、異次元な世界にチャレンジして、頭の中身を鍛えておきましょうか。
ということで、この本に所収されている4編の感想。というより備忘録を残しておきましょうか。
そこで、まず最初は、「柳湯の事件」
この小説は、ある青年の告白で語られる、人を殺したのか、そうでないのかということなんですが、
情婦との艶かしい生活。日々病に犯されている青年自身。幻覚の中で情婦を殺したかのように思えてしまう描写が、この小説の核心。
それが、湯屋の中で行われるので、ヌルヌルですねん
ヌルヌル。なんとも言えないエッチなところなんですが、男湯でのたうち回っている青年の姿は、端からは、おかしい人としか言えませんね
しかし実際錯誤であっても殺人があったのは事実で、それは人違いだ。
というのは、小説の本筋からは、重要ではないのか。
そこが小説世界。
ミステリーじゃないんですねえ
何をしたいねん。
そこで向いている先が、非凡というしかなくて、そこが物が違うなあと感心するしかないですなあ。
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それで私の目鼻の上をぬるぬると擦ったり、体中へどろどろした布海苔を打っかけて足蹴にしたり、鼻の孔へ油絵具をべったりと押し込んだり、始終そんな馬鹿げた真似をしては私をいじめました。