影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
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 谷崎潤一郎        集英社文庫


3つめ目の短編を読んだ。
これは傑作かも

内容は、私という主人公の告白なんですね
盗っ人である私は、仲間から嫌疑をかけられる、特に平田という男は、私を目の敵にしていた。
平田は柔道もするし豪快な人物なんだが、私は青瓢箪。
私は、友人たちに素直に平田が素晴らしい人物だと公言する。
友人たちは、私のことを慮って、平田が寮での物の紛失を私と決めつけるのを窘めたよう。
そういう姿を私は眺め、最後には盗みの現場を掴まれてしまう。
友人たちは、あっけに取られる。

そういうような小説ですね
私の心理が、変わっていますね
自ら犯罪者の内面をトレースしている訳なんですが、犯罪者といえども、その内実に入ってしまえば、それほど変に感じられない。
そこに小説家のマジックがあるのですが、そこのところは上手いとしか言いようがないですし、何もそんな人の内面に入らなくてもも思ったりもするのですが、基本的に小説とは、こういう変なものなんだとも思ったりもします。

柳湯の事件
谷崎潤一郎 犯罪小説集      集英社文庫


本屋さんに行くと、いろんな文庫のフェアーをしていました
夏の学生たちの読書感想文目当てなのかしら
つらつら眺めていると、異質な本を発見した。
この本はまずいでしょう。場違いだ。
取り敢えず購入して、家で中身を見てみると小冊子が挟んでおりまして、今回の集英社文庫が、特定作家のセレクトだったようです。
この谷崎の犯罪小説集が、なるほどと納得しましたが、ブッ飛んでますね
学生にこれを読ませて、どうするねん。
昨今の芥川賞受賞作が、変なものが多いのですが、これはそういう変なものの極致で、こういうのを戦前にじゃんじゃん書いていた作家がいたのは、どうしたものなのかしら。

自分の読解力の衰退を感じる今日この頃。
ちょっとハードなものを読んで、異次元な世界にチャレンジして、頭の中身を鍛えておきましょうか。
ということで、この本に所収されている4編の感想。というより備忘録を残しておきましょうか。

そこで、まず最初は、「柳湯の事件」
この小説は、ある青年の告白で語られる、人を殺したのか、そうでないのかということなんですが、
情婦との艶かしい生活。日々病に犯されている青年自身。幻覚の中で情婦を殺したかのように思えてしまう描写が、この小説の核心。
それが、湯屋の中で行われるので、ヌルヌルですねん
ヌルヌル。なんとも言えないエッチなところなんですが、男湯でのたうち回っている青年の姿は、端からは、おかしい人としか言えませんね
しかし実際錯誤であっても殺人があったのは事実で、それは人違いだ。
というのは、小説の本筋からは、重要ではないのか。
そこが小説世界。
ミステリーじゃないんですねえ
何をしたいねん。

そこで向いている先が、非凡というしかなくて、そこが物が違うなあと感心するしかないですなあ。

・ それで私の目鼻の上をぬるぬると擦ったり、体中へどろどろした布海苔を打っかけて足蹴にしたり、鼻の孔へ油絵具をべったりと押し込んだり、始終そんな馬鹿げた真似をしては私をいじめました。