影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
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青竹
 山本周五郎   新潮文庫

今日も周五郎先生の本を読んでみた。
この「青竹」という話は、昭和17年に発表されたものであり、戦時中の国威発揚を意図して書かれたものは明白なものです。
戦士の心得のようなものを書かれているような気がしますが、
ここに男あり。これぞもののふ。と言いたいのですが、この小説の主人公の源七郎の内面を想像すると、大したことないんです。
と言ってしまって終わりになるのかな。

話は、関ヶ原そして大坂の陣へと、井伊家の家臣。源七郎の目覚ましい活躍を描いた話です。
一目見た女人に恋をし、婚姻を勧められても断る、。
こういうところのややこしくて分かり難いところが、古風でもののふの心なんですが、不器用な生き様への憧れも抱かせます。

話は、詰め込み過ぎでバランスの悪い話で、周五郎先生の話の中でも傑作ではないと思うのですが、どう生きるかということには、考えさせられることの多い話と思いました。



三十ふり袖
 山本周五郎   新潮文庫


昨日に続いて、周五郎先生の本をアットランダムに選んで読んでみた。
今日読んだのは、「三十ふり袖」
これは中年男と年増女の純愛話です。
単純にふったはったと言うものではなく、実に味わい深い余韻があるハッピーエンドの話です。
正直に生きていれば、良いこともあるんですよ。ということを実感できる話です。

題名の「三十ふり袖」は、

「三十ふり袖、四十島田」という言葉を連想したが、三十になって着る振袖と、四十になって結う島田髷とは、女にとってもっとも哀しいみじめな姿だといわれる・

と主人公のお幸が述べているのですが、最後に晴れ晴れしく振り袖に袖を通すんです。そこに至る機微を描いた小説なんですが、実に滋味深いです。

三十とお幸さんは、述べているのですが、本当は二十八でして、実家には、不幸もあり内職仕事で糊口をしのぐ生活の身なんですね。
そこに、お妾の話が舞い込んで来るのです。生活の窮乏から受けざる得ないのですが、実のところその相手は、良い人だった。劇的に書けば王子様なんですね。もちろん、ただの四十男なんですが、正直者であり、真面目に生きてきた人なんです。
最後には、お幸さんには、王子様に見えたのでしょうか。みじめな姿と自分が述べている振り袖姿になる。
その場面でぱっと明るくなります。
正直に生きていて良かった。
しみじみそう思わせます。

ひとごろし
 山本周五郎   新潮文庫

最近日本は、大惨事に見舞われておりまして、世間で話題になることも、鬱々としたものばっかりです。
こういうときは、本を読むのが一番でしょう。
そこで、人が余り読まないものを、アットランダムに読んで、勝手に記事にしておこうと思いました。

周五郎先生の短編は、感銘を受けるものが多く、自分が本当に好きなものですし、未だ読んでいないものが莫大にありまして、適当に選んでみました。(本棚の本をさっと取りだして、開いたものを読んでみました)

この「ひとごろし」は、福井藩で臆病者と言われた双子六兵衛という下級武士が主人公でありまして、臆病者と言われたが為、己のみならず、妹も婚期が遅れてしまい、そのことに気にして、ある時、藩で人傷事件が起こり、その当事者が出奔してしまうことがあった。出奔した人物は、腕の立つ武芸者であり、その追手に誰も手を挙げる者がいない中、あろうことか、六兵衛は手を挙げ、追手として上意討ちをしようとする。

その上意討ちの顛末を書いたのが、この短編の内容なんですが、その手段が、腕の立つ相手に、絶えずつきまとい、「ひとごろし」と盛んに囃し立て、相手が追ってくれば、逃げるというものです。
その旅中で、六兵衛は、美しい娘と出会い、惚れられた?そして、二人で追いつめていきますが、最後で、どう決着したのかは、なるほどというものでした。
ハッピーエンドです。がひねってますね

周五郎先生は、この話を語る前に、妹と二人で、安らかにつつましく生活している姿には、いいようもなく人間的な深いあじわいがあると書いていたりするんですね。
臆病者と評判の妹としては、その立場は納得するものではないのですが、上意討ちをする兄に対しては、気をつかい、是非止めてくれと言います。
頼りなき者同士でも、頼りあって生きていれば、それだけで安らかな幸せなんです。

・ 私には武芸の才能はない、だから私は私なりにやるよりしようがないでしょう。あなたの武芸の強さだけが、この世の中で幅をきかす、どこでも威張っておれる、と思ったら、それこそ、あなたの云ったように大間違いですよ、わかるでしょう。

・ なにも武芸に強いばかりがお侍の資格ではないじゃありませんか