賢者はベンチで思索する 近藤史恵 文藝春秋
この前読んだ「ふたつめの月」の前作を読んでみた。
主人公の久里子さんは、専門学校を卒業後就職先が見つからず、ファミレスでウェイトレスをしている。そこに、いつも同じ席に座っているある老人が気になっていた。その老人とは、公園でも見かけるようになって
その後、些細な事件、大きな事件等が、久里子の周りで起こる。
その事件の子細は、ミステリーだから、書かない方がいいわね。
その謎の老人が、一番の謎で、事件も起こすだけど、その謎の提示の仕方が秀逸。
主人公はフリーターだし、弟も浪人生。
社会から、何処か疎外されている感じが、主人公の身に降りかかってくる。
この辺のやるせなさは、身につまされるし、若い人は共感できるのでは、おじさんの自分も共感できた。
主人公は優しい心情をもった女の子で、少しづつ成長しているのは、微笑ましいね。
抜き出してみると
・ 若くてきれいな女の子は、ときどきひどく傲慢だ。若くないものや、きれいでないものを簡単に踏みつけてしまう。特にきれいなわけではないが、その気持は久里子にも少しわかる。十七歳の頃は、久里子だって今よりもっと傲慢だった。