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アンの愛情 モンゴメリー 村岡花子 新潮文庫
この巻では、レドモンドカレッジに進学したアンの学生生活を描いておりましたね。
新しい友達のフィリパが魅力的でした。
一方、古い友達のダイアナは結婚し、ギリスはなくなってしまい、ジェーンは金持ちの亭主を捕まえました。
古い友が色あせる中、ギルバードは一途ですね。
この二人の愛情問題がこの巻の大きなテーマなんですけど、収まるところに収まり、アンはかって自分が思い描いた王子様のような求婚者をも断りました。
こういう展開は予想されるのですが、予想通りいかなかったら、世界中の読者は怒るでしょうね。
それにしても、ギルバードって、いい奴過ぎますね。
金持ちじゃないところを除けば、完璧ですね。
若人は、ギルバードを目指すべきべきですね。
そのギルバードに求婚されるアンも、理想的な女の人になっているんでしょうか。
教育と情操の力、恐るべしですね
勉強すればするほど、魅力を増し、情操豊になるはずなんですが、現実の教育は必ずしもそうなっていない。
では、どうしたら、魅力的な人になれるのか、ということを考えさせてくれる本が、このシリーズなんでしょうか。
アンの旧友のギリスとの別れは、痛々しいかったですね。
物語倶楽部のメンバーの行く末には、考えさせられますね。
・ アン、わたしが特別あなたを好きな点はね、心から人を誉める点よ。あんたには微塵もねたみがないのね
新しい友フィリパの言葉。フィリパは、観察眼が鋭く、この巻ではアンよりも魅力的なモノの見方をしていました。
世界は広いですね
・ もしも真の「美しい王子」があらわれないなら、その代用品など欲しくなかった。風吹きまく、曇り日の公園で、アンは厳しく自分に言いきかせた。
アンは、青い鳥症候群だったみたいですね
・ 人が夢を描き、悲しみ、喜び、生活している部屋にその経験と離れないつながりを持つようになり、それ自身の個性を持つようになるのじゃないかと思うわ
フィリパの言葉。いいこと言います。アンはフィリパにアシストされ、この巻の終わりで幸せを掴みます。いい友ですね。
「赤毛のアン」シリーズの二冊目を読んでみた。
アヴォンリーの小学校の先生に就任したアンと、村の人たちとの、あれこれを描いていましたね。
心の友であるダイアナとの語らいあうことも十分できたし、改善会を作って村の為に尽くしたり、双子を引き取ったりと、いろいろありましたね。
充実した2年間でもありました。
パイ家の子供は、アンに手を焼かせ、アンが理想とする教え方を曲折させましたが、子供たちには懐かれました。
ギルバートとアンとの距離が、縮まったのか、どうかはこの巻では微妙でしたね。
ダイアナにはロマンスがあったのにね
・ みんな、見てごらんなさいよ。あんなにすみれが咲いているわ!さあ、思い出の画廊にしまっておくものができた。あたしが八十になっても……それまで生きていたとしたらよ……目をつぼれば、あのすみれを、いまのまんま、目にうかべるでしょうよ。
アン、ダイアナ、ジェーン、プリシラはピクニックに出かける。
その思いでは、おそらくこの言葉通り、いつも浮かべることができるのでしょうね。
・ けっきょく、一番、幸福な日というのは、すばらしいことや、驚くようなこと、胸の湧くきたつようなできごとがおこる日ではなくて、真珠が一つずつ、そっと糸からすべりおちるように、単純な、小さな喜びを次々にもってくる一日一日のことだと思うわ
私生活で、悪いことにに度々出くわし、人間不信を覚えるようにもなってきた。
それでは拙いので、元気になれそうな本を読んでみることにした。
有名な本なのだが、少女向けということで敬遠はしていたんですけど。
やっぱり面白いし、非常に元気を与えてくれるものでしたね、ただし人間不信を無くさせるようなものではなかったですね。
アンのスタイルは、気の合った人を見つけるというものみたいで、気が合わないジェシー・パイとまでは無理してでもうち解けてはいませんし、ギルバードとは最後まで和解はしておりません。
ジェシー・パイが、共進会で一等を取り、素直にその受賞を喜ぶことができた、その事実をもって、自分が良きものになりつつあると悟る。
というところも面白いですし、独特の考え方でもありますが、アンのように、このように思えるようになりたいですね。
・ 全身これ「活気と火と露」にようなアンであったが、人生のよろこびも苦しみもアンには三倍も強く感じられた。これを見ているマリラとしては、アンの運命の浮き沈みの中で、どんなに激しい苦しみをしなければならないかと思うと、言い知れぬ不安を覚えるのだった。
感受性が人一倍強いこと、その得失を正確に考え、その行き末を案ずるマリラ。この話の見据えている地平は、広くて、人生に自分なりの意味を考え、問い続けている、マリラとマシュウに育てられたアンの幸福は、大きいと言えますね。
・ まわりには大きな柳の古木や、丈高い縦にかこまれ、その下には、日かげを好む花が咲き誇っていた。きれいに貝がらでふちどった、小径がぬれた赤リボンのように庭を縦横に走り、小径をはさんで花壇には古風な花が咲き乱れていた。ばら色のブリーディング・ハーツ、真紅のすばらしい大輪の牡丹、白くかぐわしい水仙や、棘のある、やさしいスコッチ・ローズ、ピンクや青や白のおだまきや、よもぎや、リボン草や、はっかの茂み、きしゃな、白い羽根にような葉茎を見せているクローバーの花床、つんとすましかえったじゃこう草の上には、燃えるような緋色の花が真っ赤な槍をふるっている。
はじめてダイアナの家に行くときの、ダイアナの家の描写なんですけど、花とりどりですね。この物語は、自然の描写が入念です。
花を愛する人というのは、どこかしら平穏な気持ちも持っていると言えそうですね。
・ マリラ、明日がまだ何ひとつ失敗をしない新しい日だと思うとうれしくない?
失敗ばかりしているアンの言葉。
前向きですね。
・ ちょっとしたほめ言葉が、ときにはありとあらゆる良心的な教育をよせ集めたと同じくらいの効果を、あげることがあるからである。
その通りだと思いますが、世の中ギスギスした人なかりで、ままなりませんね。
・ 「お前のロマンスをすっかりやめてはいけないよ」とアンにもじもじしながらささやいた。
「すこしならいいことだよ。 あんまり度を越したらいけないがね。もちろん 。だがすこしはつづけるんだよ。アンや、すこしはつづけたほうがいいよ」
アンが数々失敗を反省し、ロマンティックすぎを直そうとしたことに対する、マシュウの言葉。
マシュウの愛情を感じるとともに、懐の大きい人物であると感じられます。そういうことを言える大人は、世にはほとんどいませんわね。
・ もしアンのような子をいつも置くとけるなら、あたしだってもっとしあわせな人間になることだろうに
ミス・バーリーの言葉。
そういうことを人に言わせる人間になりたいものですし、若い人にはなって欲しいですね。
この話の離着点は、精神的なものが強いですね。
その人の心掛け次第で、世の中は楽しくもなるし、辛くもなる。
それを気づかしてくれる存在がアンなんですね。
マリラ、マシュウ兄弟は、アンを天から戴いた存在として神に感謝する。
誰もが、本来そうあるべきなんですが、そうじゃないのが現実の世でありますが、そういうものだと気づかせてくれる本ではありますね。