影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
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審判の座
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より

ここでの話は、モームさんの創作で、モームさんが結婚とかを普段どう考えていたかが、推し量れるのですが、かなりシニカルですよね。
対面上では、申し分ない人間でも、その内面が荒廃していたらダメじゃんと言いたいのでしょうかね。
小林まこと先生の「ちちょんまんち」みたいな世界を想像したりして、
やっぱ、面白おかしく人生を送った人が最強なんでしょうか。


ジョンとメアリーとルースは、最後の審判が下されるのを待っていた。ジョンとメアリーは夫婦だった。ジョンとーとルースは相思相愛になったが、メアリーのことを考えて、辛い別れをしたのだった。
その後の人生でルースは孤児院を設け慈善事業に一生尽くしたが、その信仰は偏狭であったため、横柄で、頑迷、執念深い女になった。
ジョンはルースとの別れの後、キリスト教徒として表面上は妻に優しかったが、妻に憎悪の情を持って一生を過ごした。
メアリーは本来善良で信心深い女だったが、以前夫が払った自己犠牲を赦せず、気性の激しい、愚痴っぽい女になった。

神は、この3人に対してこう言った。

 わしはときどき考えるのだが、星は路傍のどぶの水にその光を映すときほど美しく光ることはないのだ。

・ いったいどうして人間どもは、軌道に外れた性の関係をわしがそんなに重要視していると考えるのだろうか。もう少し注意して読みとってくれたら、とくにこの種の人間的弱点にはいつもわしが同情を寄せてきたということぐらいわかりそうなもんだが−

落ち着くさき
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より


モームはある時、ボルネオ島の密林の中の収税吏の家に世話になることがあった。
収税吏の男はきさくな男ですぐ意気投合した。すると男は、モームが寝るベッドに以前寝たことがあるオランダ人の話をしだした。
そのオランダ人は手提げ鞄一つでこの密林の中にやって来て、誰かに追われているかのように震えていた。
なぜかと聞くと、スマトラのアティ人と諍いを起こしたのだと、
あっちこっち逃げているのだが、行く先々で、そのアティ人が現れるので、ついにこの密林の中まできてしまった。
収税吏の男はこんな処までくるはずはないと元気づけたが、オランダ人は用心深く鍵を掛け就寝した。
翌朝、オランダ人が起きないので、扉を開け中に入ると、オランダ人は喉に刃物を刺されて亡くなっていたと。

・ そのベッドでやすんでいただいてもよござんすかね。

 モームは収税吏の男に、こんな話は、あしたの朝にしていただきたいと言った。


それゃそうですよね。そんなところで寝ていると不気味で仕方ないですよね
衝撃度は、違った意味でありますね。6くらいにしておきますかね。


ある紳士の自画像
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より


・ どうしてこんな書物が、亡くなった牧師の蔵書のあいだに、ひょこりはさまっているのか知ら、

モームが京城に行ったとき、古本屋に入った。英書を置いている一角があり、伝道のなかでなくなった牧師の蔵書と思われるものだった。聖書や「コリント書」の評釈がある中で、ジョン・ブラックブリッジという保険計理士兼弁護士と言う人物が書いた「ポーカー大全」という本があった。
この本はモームがこんなにおもしろいものを手にいれたためしがないというようなものだった。

・ そんな安い値段で、私がこんなにおもしろいものを手に入れたためしはいままでなかったと思う。

そこに書かれていることをモームさんは気に入った。

・ 損失が元手にあたえた打撃は、それと同額の利益をもってして癒されるものではない。

・ きみのかわりに、君のチップスにものを言わせるがいい。賭博師は、無言でいるかぎり、不可解なものだ。そして、不可解ねものをこわがるものが人情の常だからだ


・ ポーカーは紳士向きの勝負である

・ ストレートフラッシュは、ただたんに、それで金もうけができるからというだけでなくて、それにはひとつとして必勝の手というものがなく、したがって、必勝を信じて賭けたりする者がいなくなるので、珍重するだけの値打ちがあることになるのだ。

モームさんのツボを直撃したみたいで、感心した箇所をいくつも引用しているのですが、自分には奥深くすぎていまいちよく分からないものもあります。
でも、大変味わい深いです。

・ つまり私たちは、人間性をありのままに肯定するよりほかありませんからね

モームさんって本当にトランプが好きですね
この話の衝撃度は7くらいにしておきましょう。


困ったときの友
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より


この話も日本ものです。
そして出来が良いものですね。
のっけの文で

・ 私はこれまで三十年間、仲間の人間たちを観察してきた。しかし、かれらについて私の知っていることはいくらもないのである。

自分が、モームを好きなのは、こういった文章があるところ。懐疑精神ではなく、人間への尽きぬ関心が、こういう言葉になるのだろうね。
年いけばいくほど、人間というものは、他人についての感想は決定論になり、第一印象とか、見た目での判断に多くの比率を置くようになる、
昨今のベストセラーでも、人は見た目が9割という本があったりもする。
そういった著作とは、モームの物語は逆を行くものではありますが、どうなんでしょう。

自分が考えるのは、年を行くほど決定論的なものは、避けるのが若さを保つことではないかとも思うのだよね。
簡単で、あからさまに出せるもので、結論を出せるものは、もともと簡単な問題であり、本当に難しい問題は、見た目とかで出せるものなどない。
見た目の判断で下せるものは、実は誰でもいいものであるということなのかも知れないしね。

物語を読むということは、何でどうしてということへの探求だし、実際生活で直接役立つものでもない。でも無用の用みたいなのがそこにあるということが、最大の魅力なんじゃないでしょうか。

長い前置きはともかく
ここでの話は、

神戸で会社を経営するエドワード・バアトンは、余り喋らないが、言うことに分別があり、地味な、淡々としたユーモアを持った人物だった。
モームが会ったバアトンの家族も暖かいいい人たちで、彼のやさしい心情がよく分かった。

ある時、ホテルでにバアトン会ったとき、彼は、同じ姓を持つレニー・バアトンの話をした。
この男はイギリス本国から来る送金でずっと生活するギャンブラーだった。
レニーは賭けですってんてんになってしまって、エドワードの会社に雇ってくれとやって来た。
聞くところのよると水泳が得意らしいので、垂水川の信号浮票を回って帰って来たら雇ってもいいと答えた。
すると、その言葉を信じたレニーを川を渡りきることができず、亡くなってしまった。
バアトンは、レニーが酒、ギャンブルで体がボロボロで、とても渡りきれないとあらかじめ知っていたのだ。
モームが結果が分かったいたのかときくと、エドワードは、当時会社に空きがなかったんです。とあっさり答えた


バアトンのとった態度は、必ずしも責められるものでもないかも知れないよね。
使いものにならない人物などいらないということに対して、やんわり断っても、自分に対しての風評は、けっして良くはないが、密かに亡きものにしてしまうようにすれば、そういう風評すら立たない。
今まで会って感じてきた、この人物の人当たりの良さというのは、実は底意地の悪さがあってのものだと。今回のことで判明した。

モームさんは、そのことについてはそんなに驚かないように見えるのが、面白いところ。
一見人が良さそうであるというのは、実はそうでないという事実に会うことが多いからではないか。
こういう話に接すると、見た目とか第一印象とかで判断するのは、どうなのかと考えてしまいますね。

衝撃度は8くらいかな。
家探し
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より

・ 女がいったん男と結婚しようと決心したらさいご、その男はすぐさま姿を消してしまわないかぎり助かりっこない。そう私はかねがね確信していたのである。


ロジャーは上手く逃げられた数少ない男の1人だった。
ルース・バロウという女と恋にロジャーが陥ったとき、モームはこの女の胡散臭さに直ぐ気が付いたけど、ロジャーはなかなか気が付かなかった。
しかしある時彼は何かの決心したようだ。彼はルースと共に理想の家探しをはじめたのだ。
二人はいろんな家を根気よく周り、その家にけちをつけるのはいつもロジャーだった。
ルースはついに根気負けして他の男と結婚すると言わせたのだった

求愛を断る方法を披露しているね。
相手を傷つけないで、やんわり断るにもコツがあるみたい。
もてないの男の人には関係ないけど

衝撃度は、意外性があったので7くらいにしておきます。
物識先生
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より

日本ネタだ。船上ですけどね。
それにこの短篇集の中でも最も出来の良い話なのかも。

モームが第一次大戦終了直後、サンフランシスコから横浜行きの船に乗ったとき、個室を取ることが出来ず、二人部屋になってしまった。
同室のケラーダ氏は名前からすると中近東出身者であり持っている荷物からすると、余り好い印象を持てなかった。
実際会ってみると、よく喋る博識の男だったが、最初の印象通りだった。
ケラーダ氏は船旅の全てのイベントに顔を出し、誰かにかまわず、博識を披露し、モームにをはじめとする船客たちは、影で物識先生と呼び揶揄した。

ある日、神戸の領事館に勤めるラソーダ氏と口論となった、それはラソーダ氏の細君がつけている真珠が本物で高価なものだと、真珠の仲買もしているケラーダ氏が言ったのに対し、ラソーダ氏はこれはニューヨークで安く買った物だと言ったことからだった。
それでは、100ドルを賭けて真偽を判定しようと言うことで、ケラーダ氏が手に取ってみて、すんなり100ドルをラソーダ氏に渡した。

その後ケラーダ氏は船客の笑いものとなったが、翌朝、船室に一通の手紙が挟んでいた。それは、ケラーダ氏が渡した100ドル札だった。
モームがあの真珠は本物だったんですかと聞くと、ケラーダ氏は「もしぼくがきれいな可愛い細君を持ったら、自分が神戸にいるあいだ、細君にニューヨークで1年もすごさせるようなまねはしないね」、この瞬間ケラーダ氏を嫌いでなくなった。

・ だれだって大バカ者に見られるのはいやなもんですよ

これは、要はラソーダ氏の細君が旦那に隠れてが単身赴任している間に、何かがあったのでしょうね。そういう背景をケラーダは知って、あえて笑い者になった。
一見、お喋りな軽薄に見えて、奥深い人物だったと。

衝撃度は高いですね。8くらいかな。

生家
前作に続いて良い話ですね。

・ 彼らは紳士淑女になろうなどという、新しがり屋の持つような考えななど別にもちあわせていなかったし、自分たちの置かれた立場をよくわきまえて、かつそれを誇りにもしていた。私はこれほどまとまった家庭というのを見たことがない。みんな陽気で、勤勉で、親切だた。そこでは家長中心の生活が送られていた。

というようなモームさんが、理想とする家族の話ですね。

300年も続く旧式な石造りの家に生活するメドウズ一家は、屋敷と同じく、鈍重だったが、逞しく、気取ったところのない陽気で、勤勉で、親切な人たちだった。ここの家長は。齢70才のメドウズ婦人だった。婦人は一かどの人物で。好意と鋭いユーモアを備えていた。

ある時モームは、その家の嫁から家に招待された。
それは、52年前メドウズ婦人に、弟のトムと共に求婚してが、婦人がトムを選んだために、船員になったジョージが52年ぶりに帰ってくるとのことだった。

モームが中国に長らく行っていたので、話相手になって欲しいので来てくれと言われた。家にいってみると、ジョージは車を降り楡の木に道を歩い家まで来れたことを楽しそうに話し、自分の人生に後悔はないと言った。

・ 人生には成功したのだった。それを楽しんで送ったからである。

翌朝その家にまた行ってみると、ジョージが亡くなっていた。婦人はジョージの為に花を摘んでいる途中だったが、モームにこう言った。「わたしは、ジョージが帰ってきてくれて嬉しいの。トムと一緒になって、ジョージが飛び出してしまってから、実を言うと、私の選んだ相手が正しかったかどうか、はっきりしなくなったんですものね。」

・ 運命の神は親切だった。死はちゃんと正しい場所に終止符を打ったのである

最後の老婦人の言葉は、意味深長ですね。
味わい深い話です。

衝撃度は、余り無いかも。3くらいにしておきます
ふーむ、女性は男のロマンとは関係ないところでいきているのねえ。深い話だ
漁師サルヴァトーレ
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より


のっけの文章は

・ さあ、私にそんなことができるかどうか疑問である。

どういう話になるのでしょうかね。何をモームさんは言いたかったのでしょうか

モームがサルヴァトーレに会ったのは、彼が15才のときだった。彼は島から出たことがなく、いつも口許の笑みを浮かべるわずらいのない瞳をした少年だった。
彼は島の美しい娘に恋をして婚約した.
軍務につかなくてはいけなくなり、軍船に乗った。その軍務は彼には大変つらいものだった。中国まで派遣されたとき、そこで病にかかり、もとの健全な体に戻れなくなってしまった。軍を除隊し島に戻ってみると、あの娘は婚約を解消してくれと言った。

・ 一人前の男なみに働くだけ丈夫になれないような男とは結婚することはできない。

彼は黙って受け入れた。彼は島で違う娘と結婚した。その女は鬼婆のような容姿で年上だった。、子供をもうけ、毎日朝から晩まで懸命に働いた。彼は少年時代のあの無邪気な微笑と、信じきった優しい眼差しはそのままだった。

世界を旅したモームさんにとって、その漁師の見せる微笑みが、奇跡のように思えた。
ただの善良さ。
そのことが得がたいものに見えたのでしょうか

衝撃度は6くらい。
じわじわと迫ってきますね。この話は詩情があって美しいものでもあります。
何度も読み返したい話であります。

ランチ
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より

この話は、面白いですね。
つまるところ食い物の恨みは、ずっと続くということでいいのでしょうか。

モームさんはフェミニストなので、

・ どんなことを言っても痛くもかゆくもないという年配に達するまでは、女のひとに「ノー」と言える男はほとんどいないものだ。

という考えで、手持ちのお金で、今月やりくりしていこうと思っていたのに、ある芝居で、幕間である女優に招きを受けた、その女優と20年前作家として駆け出し時に会ったことがあったのを思い出した。
彼女は自分のファンだと言って高級レストランに呼び出したので、モームはその月の生活費全てもって出かけた、彼女は自分は小食で、ランチは少ししかとらないと言っていながらも、次々と高い食べ物をたのんで、モームを青ざめさせた。

よくありそうな話ですね。モームさんが可哀想なのは、スケベ心でその女優と食事をともにしたのではないと言うことなんですね。

モームさんが頼んだ店で一番安いメニュウをボーイに頼むと、

 肉など召し上がるのはあまり感心したもんじゃございませんわ。

などと、言いながら自分は高いキャビアとかを注文する。その後も、少食何ですがと言いながら、大変高価なアスパラガスなども注文する。どんどんモームさんは青ざめる。

・ いつのばあいでも、食卓から起き上がるときは、まだもう少しは食べられるという気持でいるのがほんとうではないでしょうか?

ねちねちと恨み言もいいたくなりますわね。
この女優さんは、今流行のKYそのものですが、女優さんってそういうものなのかも知れませんね。
女優さんは、今は見る影もなくなり、太ってしまっているのを暴露することで、昔の怨みをはらした話ですね。
他愛もないものです。

衝撃度は、今の女優さんの姿がそうなんるのか、6くらいにしておこうかな
異国の土
コスモポリタンズ     S.モーム     ちくま文庫より

まず抜き出してみると

・ 私は諸国を放浪するのが好きなたちだが、それは、荘厳な史跡を探ねるためでもなければ、明媚な風光をめでるためでもない。どんな遺跡を見ても、私にはなんだか退屈だし、いかに美しい景色でも、すぐあきあきするからだ。私が旅するのは、人間というものを知るためなのだ。

人間を知る為に旅をする。
モームの旅とはそういうものだったみたい。人間に対する興味がつきなかったみたいだね。
ここでの話「異国の土」には、モームが世界中を旅して最大の驚きを与えた人物と遭遇する。
それが、初老の小綺麗なイギリス婦人だったりする。

話は、
ある時、小アジアに行ったとき小さなホテルに行ったとき、夜寝るとき湯たんぽの差し入れを受けた。
翌朝主人にお礼に伺うと、現れたのはイギリスの上流婦人の家庭婦そっくりのニコリニ婦人だった。
夫は15年前に亡くなり婦人はやもめ暮らしだった。婦人は昔貴族屋敷に奉公しており、旦那はそこの料理長をしていて、結婚して貯金を持ってニコリニさんが広く世界をみたいと言ったので、小アジアでホテルを始めたのだ。
婦人は行儀作法の見本みたいな人物だったが、イギリスに対する未練は全くないと言った。
最後このホテルを離れるとき二人の息子に会ってくれと言われ、そして会ってみると二人は英語がしゃべれず、容貌もイギリス人らしくなかった。
婦人は二人がニコリニ氏がギリシャ人の娘に生ませて婦人が養子として育てたのだと、人ごとのように言った。

何のために旦那に従ってこんなところにやって来たの。謎ですね。
最後の言葉もふるっていましたね

・ シニョール・ニコリニは、なかなか血の気の多いほうでございましたからね

衝撃度は、モームさんには最大だったかも知れないけど、自分としては読み直してみると、それほどでなかったりするので8くらいにしておきます。