黒豹忍殺し 門田泰明 光文社文庫
世間のおじさん族に大人気(ちょっと昔かも)であるところの、黒豹シリーズを読んでみた。どれを最初に読めばいいのか分からないので、適当に手に取ったものを読んでみた。
おじさん族が、このシリーズが好きなのか分かった。
そしてこのシリーズが好きだと公言するのが少し恥ずかしいこともね。
小説を読む楽しみというのは、作者の妄想の世界に浸るということでもあるので、
銃、車、女、仕事。社会的地位。家庭の煩わしさがないこと。
やりがいのある仕事が与えられる。
その仕事が、国家からというのは、
日本人のサラリーマンの願望であると同時に、悲哀も感じるね。
大きな組織にもたれ掛かっていたい。どこの骨とも分からない組織に所属したくない。
日本人は、こういう根の部分からは、逃れることはできないみたいだ。
日本のおじさん族は、疲れているのだ。
大きな組織に所属していて、社会的な地位を保証されていて初めて、大きな冒険を心おきなくできる。
そこまで保証する必要があるのかという疑問を許容できるかどうかが
このシリーズを読んでいけるかというポイントなのかも。
この巻の内容は、データーベースでは、
黒木豹介は、倉脇総理大臣から突然の呼び出しを受けた。倉脇宛に、「殺」の文字のみが大書された速達が届いたのだ。直ちに調査を始めた黒豹は、倉脇の私的事情に絡む一人の男の名を認めた……。壮絶な復讐劇へと進展する凄惨極まる山岳戦、ただ一人敢然と立ち向かう黒木、そして彼の影を追う謎の女は……!?
とある。
誰か犯人なのかはあっさり分かるし、襲われても簡単に退ける。
黒豹は無敵なので、どんなピンチになっても大丈夫。
それなりにはらはらもするが、安心して読める。
・ 彼はスーパーコンピューターを使って、倉脇首相に殺意を抱く可能性のある者を、まず百名ピックアップし、さらにそれに二十名まで絞り込んだ。むろん、どう絞り込むかは、全てコンピューターが判断する。
コンピューターにデーターを入れたら、即回答してくれる。
そういうコンピューターが欲しいなあ。勝手にコンピューターさんが判断してくれるのだからね。どういうデーターを入れるかでみんな苦しんでいるのにね。
自分もおじさんなので、この世界は嫌いではない。
余り深く考えずに、お馬鹿な世界に浸りたい。
なので細かく詮索するというのは止めておきます。