村上春樹 文芸春秋
夕方過ぎになって、アマゾンでも一杯レビューされまして、内容がどういうものなのかも分かってきているので、自分も落ち着いて、この本について少し書いてみようか
ブームになっているので、普段本を読まない人も読んでいるようで、よく分からないけど面白いなんていう。ミーハーそのものの発言もあるみたい
一般人は、それを仕事にしている訳ではないのだから、自分の理解できるところ、面白いと感じたところだけを味わえばいい。本来全体的にどうだ。この本は何を語っているのかを、一般的見解を知る必要はないです
でも、横並び意識をしがちな日本人の傾向として、内容がどうなのか、自分の読み方が、普通と離れてしまっているのではないか、おっかなびっくりな人が多いようです
当ブログも朝の更新時以降、かなりのあらすじがどうなのかという検索による訪問がありました
これは、自分の予想通りでした
あらすじは、題名にそのまま書いてますね
高校時代の仲良し5人組。男3女2のグループから、主人公多崎つくるは、地元を離れ上京後の大学に入学後外されてしまう。つくるは、自殺も考えるほどショックを受けるが、立ち直る。そして16年後素敵な年上の女性を巡り合い。自分がどうして仲間を外されたのかの理由を探ることになる、昔の友人を訪問し、その現況を知り、どうして自分が外されたのかの真の理由も知ることになる
書いてしまって拙いのかも知れないけど
一応書いておきましょうか
リストの「巡礼の年」が今回使われていますね。プレスリーの「ラスペガズ万歳」もそうなのかな
この本は、箴言が散りばめられておりまして
つくるさんの大学の後輩の灰田くんは、歩く名言と言いたくなるくらい
良い言葉を沢山述べてくれます
こういう後輩持ちたいものですねえ
・
限定して興味を持てる対象がこの人生でひとつでも見つかれば、それはもう立派な達成じゃないですか
灰田くん。その父親の話は、印象的ですし、とても大学生が語るような内容ではなく、人生を達観したある高みのある人のような言葉のような気がしました
こういうところが、村上先生の本の面白いところですね。それが、メインストーリーに結びついているのかどうかは、はっきりしません。そこは、読者がどう捉えるかに変わってくるようです。
高校時代の同級生のアオもアカも、自らの言葉で、つくるさんと語ります。
日本の一般的中年男子同様。自分の仕事の内容から離れることができないのが、珍妙なんですが、視点を変えれば、誠実のそれぞれの人生を生きてきたとも見られます
村上先生のものの見方が、そこのところに垣間見れるかも知れないですね。普通の人の普段喋っている言葉を重視し、愛着を持つようになっている。傍目からは、おかしい。海外では、日本の男って変と言われそうですが、日本の男というもは、こんな感じだが、愛すべき者たちなんだと自分は、捉えました。
アカもアオも、繊細で他人から見ることのできない側面も持ち、内面豊かな人物なんだと実感できました。
中年の自分は、こういうところは、共感できましたし、こういう側面も村上先生になるのだと嬉しい驚きでした。
問題は、高校の同級生の残り二人の女の子と、今のガールフレンド沙羅さんですね
沙羅さんが、良い女なんですね。この本は、沙羅さんへの求婚活動を述べた話だと簡潔に言えそうなんですが、沙羅さんの造形も村上先生の女性を見る視点の移り変わりがあるのかも知れませ。
本人曰く、昔はけっして目立つ容貌ではないはずの沙羅さんが、実に魅力的に書かれているのに対し、高校時代の美少女だったはずのシロさんが、埋没していく過程。そこが、この本の大きなポイントになり、つくるさんの知らないところで、その事実があってしまった。
その原因は、巧妙に伏せられているように思えました、時間が経てば重要ではないことだったのかも知れません
なんだかんだ言っても、つくるさんは、夜間の船のから海に投げ出されてもなんとかやっていけそうと友人たちからも思われているようですし、本人は謙遜してますが、そこそこ裕福な家庭のイケメンで、親戚に有名人がいたりする人です
ハイスペックな人です。
あんたなら何とかやっていける。
それを言ったら、物語にならないのですが、でもそうなんですね
つくるさんは、どんどん受容力のある人になっていきます、そういう意味では、ビルディング小説ですし、読後は爽やかかも知れません
シロさんが、どうしてそうなったのかという謎は残りますけどね