影法師

自分が読んだ本の感想を書くブログです。
優しいコメントは大歓迎です。
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鋼鉄都市
鋼鉄都市  アイザック・アシモフ/著 福島正実/訳  ハヤカワ文庫 


久しぶりにSFを読んでみた。
高名な小説で、殺人事件の謎解きを題材としたものらしいというのと、ロボット三原則うんぬんが絡んでくるというのは、あらかじめ知っていた。

読後、殺人事件そのものよりも、ここで提示されている未来の地球の現況と選択に大きなウェイトが置かれているし、ロボットの同僚刑事への葛藤から接近、融和への道に多くのシンパシーを感じましたね
殺人事件を単に解決して、それでおしまいじゃない話ですし、この地球といより、題名の鋼鉄都市の中の中の人類の環境問題が大きなテーマなんですね。そこに異星人の宇宙市民たちがちょっかいを出す。心配で乗り出してくる。
宇宙人側の事情も書かれいて、そこのところは、先進国tぽ発展途上国の関係みたいでした。

かなり昔の書かれた小説なんですが、人類が直面するであろう問題は、資源の枯渇によるより制限された生活を強いられるであろう未来というのは、今の時代でも同じ道筋にあるとは言えそうです。
今の世界も遠からず、人類は耐久生活を強いられる時代が来そうです。

人類側の感情のぶれは大きいのですが、いつも沈着冷静なロボットの相棒。そのかけあいというか、対話は実に濃密で面白いものでした。
輝くもの天より墜ち
 輝くもの天より墜ち   ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/著 浅倉久志/訳   ハヤカワ文庫


またまた政治的意見を書いてしまった、自己嫌悪だ。
よし思い切り歯ごたえのある本を読んでやるぞ。
ということで読んだのが、ティプトリー・ジュニアの長編。
以前途中まで読んで放りだしていたので、今回は気合いを入れて最後まで読んでみました。

この本は、ミステリー調なんですね。「ザ・スター」というイベントに観光にやってきた人たちを巡る24時間の事件を扱ったものです。
やって来た人たちには、由縁がある訳である。
その中で大きく関係してくるのは、「ザ・スター」を生みだした惑星破壊。そして舞台になった星で過去に行われた虐殺事件。
その2つの因果が関係して話は展開していきます。

語られる話は、特徴的なんですね。美というものに重きを置かれているんですね。

・ その驚異は、それを見るものの魂をむさぼった。その美にあまりにも長くさらされていると、ふしぎに希望が持てなくなる……それにもかかわらず、癒しがたい、名のない欲望にとりつかれる

普通なら美そのものが、癒しになるのですが、そうじゃないんですね
自分の読解力に問題があるので、人物の整理と物語の動きを捉えるのに四苦八苦しました。
目まぐるしいんですよね。
このブログは、備忘録ですから、まともな感想記事は他のブログで参考にしてください。
エンダーのゲーム
エンダーのゲーム    オースン・スコット・カード, 野口 幸夫訳     早川文庫



ウィキペディアでのストーリーを転記してみると

時は未来。人類は、バガーの二度に渡る太陽系への侵攻を退けた。そして三度目の侵略に備えるため、地球の衛星軌道上にバトル・スクールと呼ばれる施設を設置し、「戦いを終わらせるもの」を養成することに決定した。
その頃、地球では少子化政策により、一家族で2子までしか子供をもうけられなくなっていたが、長男ピーターと長女バレンタインの優秀さから、ウィッギン家には特別に3人目の出産が許された。その3人目こそ、運命の子アンドルー(エンダー)・ウィッギンだった。天才的な才能を見込まれ、司令官の最有力候補としてわずか6歳でバトル・スクールに編入させられたアンドルーは、世界中から集められた優秀な子供たちの中でも桁違いの成績を残し、成長していく。時を同じくして、ピーターとバレンタインもネットを利用して、地球上で勢力を広げていた。果たして、アンドルーは戦いを終わらせることができるのか……、ピーターとバレンタインの狙いは成功するのか……

とあります。
上手く書いています。

爽快というような話ではないですね。話はバカでかいけど、登場人物も限られています。仕掛けは意外と単純な話なんじゃなかろうか。
少年の自立というのが、この話の大きなテーマなんでしょうけど、その少年が若過ぎます。
天才だからいいのだ。と言えばそれまでなんですけどね
兄弟姉の話ですが、その兄弟は仲が良いとは言えないし、仲間内でのいじめもあります。

この本は、大きな賞も得たし、絶賛する人も多いと思いますが、SFに馴染みのない者(自分もそうです。)とかが読むと、読み通すのに苦労するかも知れないです
「クジラのソラ」は、ここからアイディアを拝借したのかな。
ちょっと似ているね


・ われわれが進化をする方法は、無理に無理を重ねて、遂に、二、三世代おきに、天才を産み出すことによってなのだ。車輪を発明した者。そして照明を。そして飛行を。都市を、国家を、帝国を建設した者。きみは、これを少しでも理解するかね?

欧米人の考えですね。天才がこの世の中のしきたりを決める。
この話は、そういう思想で貫かれたものであるとは言えそうです
ティンカー
ティンカー      ウェン・スペンサー/著 赤尾秀子/訳    ハヤカワ文庫


以前読んだ「ようこそ女たちの王国へ 」と同じ作者の作品を読んでみた。
表紙の絵柄と、データーベースにある次ぎのような言葉

21世紀末、中国が開発した異次元間転移装置ハイパーフェーズにより、異世界への道が開かれた。だがその装置は未完成で、なぜかピッツバーグだけが魔法が支配するエルフホームに転移してしまった。ティンカーは、そのピッツバーグでスクラップ業を営む、18歳の天才少女。ある日、魔法の狛犬に襲われた一人のエルフを助けたことから、地球・エルフホーム・オニヒダの三世界にまたがる奇想天外な大事件に巻きこまれることに。サファイア賞受賞作。

とあるので、ライトノベルみたいな感じのハードSFなんだろうなあと思い
それに登場するのが天才少女。
実に食指の動かされる設定に思えたのですが、
読後、うううう
「ようこそ女たちの王国へ」でも、そうだったんだ。
この作者の作品では、ハードなSF設定があっても、それの説明がなされていても、それはつまみなんだ。
確かに少女の冒険物語なんですけど、自分が期待したものではなかったですね。
予想を裏切るのは、小説世界では意外性があって有り難いこともありますし、この本がストライクだと感じる人もいるので、こういう展開はけっして悪いとは言えないのですが。

データーベースでの文章では、導入での説明しかされていないので、これ以上の話を曝したらいけないのかも
ティンカーちゃんが、逞しいのは良いのですが、エルフのウィンドウルフはどうなんでしょう。
自分のみたところでは、いたいけな少女を振り回す妖精の国の王子さま
いい奴なんでしょうか。
女性にとっては、ちょっと悪そうな奴の方が魅力を感じるということなのかな。
これも書いていかないといけないと思うけど、この話は途中からグランドロマンスになってしまい、青少年が読むのに不適切なものになってしまう。
なので、あまりティーン世代が読むのは勧められないわね
所有せざる人々
所有せざる人々 :アーシュラ・K・ル・グィン 訳:佐藤高子    早川書房



一章づつ取り上げていたのでけど、書きずらくなったのと、本当に歯ごたえがあり過ぎる物語なので、そのまま放置しておいた。
さすが、そのままではまずいので、全体の感想も少し書いておきます。
自分の手には余ります。正当な評価はSFファンに任せたいです。
これはあくまで自分がこう感じたという備忘録です。

この小説は、ウラスとアナレスという二重惑星が舞台で、交互にウラスとアナレスでの主人公の物理学者シェヴェックの行動、考えを描いた小説。
発表が1974年。東西冷戦時の頃に書かれたもので、実在のモデルとして、ウラスは西側諸国、アナレスは東側諸国と見て取れるわね。作者がアナレス側を好意的に描いているのは時代のせいもあると思う。

ユートピア小説で、ウラスは過去に離れ、アナレスに理想の社会を築いて旅立った子孫シェヴェックが、ウラスに来てみると、富に恵まれ、一見優しい人々との応答、そしてその美しい景色とかに、安らぎを覚えるのだが、その富の下に隠された虚偽を発見し、そのことを見つめているうに堪えられなくなり、最後はアナレスに帰る選択をする。
アナレスを描いた章では、貧しくけっして恵まれている訳でもなく、研究以外のことに度々狩り出されているのだが、それでもアナレスを選択する。
それを、これでもかこでもかと様々の人との対話で炙り出していく。

理想社会とは何か、その社会でどう生きる意義を見出していくのかというのを真摯に問い直している。

・ 真の旅は帰還である。

そのままだったわね。

同じユートピアを語った物語としては、宮崎駿先生の「風に谷のナウシカ」なんかもそうだね。あの映画の原作マンガは哲学的で分かり難いので余り論及されないのだが、結論は、この小説とはだいぶ違っているわね。日本人としてはナウシカの結論は、心の底から共感を得るものなんだけど、そこで議論は終わってしまうようなところがある。
この小説の結論は、一見分かりやすそうであるが、それでいいのかいと言ってしまえるわね。まだまだ議論しておくべき余地を残すような終わり方で、これは物事を考える素材としてはこっちの方が優れているかもね。
まだ本当のユートピアは見つかっていないのだもんね
それを言っちゃ、ナウシカも見つからなかったじゃん。と言えますが、あれは見つけること自体を否定する結末だったのではないでしょうか。


・ この豊かで、実在する、安定した現在、今という一瞬しかないのだと。そして、それは所有され得るなにかだと考えておられる! そしていささかの羨望を感じておられる。あなた自身が手に入れたものだと思っておられる。しかし、それは架空のものなのですよ。それは恒久不変のものではないのです。 ー恒久不変ものものなどこの世にはありません。物事はどんどん変化していきます。

所有せざる人々 その5
ウラスが舞台。
シェヴェックはウラスで公開講座を受け持ち、多数の学生がつめかけた。高度な授業で脱落する者も多かったが、少なからざる者が残った。
そういった生活に馴れるにつれシェヴェックは無為に襲われた。
シェヴェックは、様々なウラスでの同僚の家を訪問した。

所有せざる人々  その4
この章は、アナレスが舞台。
ウラスと違って不毛の土地に入植してきた人々のことが語られていた。

・ アベネイに毒はなかった。明るい、むき出しの都会。ここでは色彩は淡く鮮やかで、空気は清浄である。喧噪もない。町はすみずみまでも一目瞭然。まるでこぼれた塩
のように明快にレイアウトされている。

共産主義国家の町並みみたいですね
シェヴェックは、ウラスの本を使って勉強の日々。
シェヴェックの論文がウラスでも刊行されることになった。
ここでは幼い時に別れた母親と再会する。

・ シェヴェックは彼女の孤独を見た。彼女の苦悩を見て憤りを感じた。それは彼を脅かした。彼の父親の誠実さ、彼の生活が根ざしていたあの純粋でゆるぎない愛をゆさぶった。困っているパラットを見捨てた彼女が、いったいなんお権利があって、己れがつらい時にパロットの息子に会いにくる? 彼は与えるべきものも持ち合わせていないのだ。彼女に対しも、また誰に対しても。
所有せざる人々 その3
ここでの話はウラスに話が戻って、シェヴェックは朝起きる滞在している場所を探索し、アナレスとは違ったウラスの美しい風景に感動した。部屋の戻るとウラスの高名な科学者たちの訪問を受け、楽しい科学談義をする時間を過ごせた。
ウラスでは女性が科学を研究するものでないことを知りシェヴェックは驚いた。
その後日、新聞でシェヴェックは言ってもいないコメントが載っているのを知った。
そしていろいろなところにシェヴェックは訪問した。そしてシェヴェックはウラスを愛するようになった。

ウラスに馴染んできたシェヴェックさん。
当初どうなることかと思いましたが、これで良かった良かったとは行かないのでしょうね。
ここで終われば美しい話なんですけど
所有せざる人々 その2
この章は、アナレスでのシェヴェックの少年期、青年期について語られていたね。
アナレスの社会は、ウラスからやって来たオドー主義者の考えに支配されていて、そのオドー主義というのはいまいち実感できないのは、時代のなせるわざなのかな
シェヴェックは、友人と異性と接触し、いろいろ語り合っている。

・  ぼく自身が考えている兄弟愛の本質についていわんとしているんだ。それはーそれは苦痛を共にすることから始まる。
所有せざる人々 その1
所有せざる人々    アーシュラ・K・ル=グイン/著 佐藤高子/訳    早川文庫


ちょっとずつ読むということであれば、この名作も読めるかも
ということで、一章ずつ不定期に読んでいきたいと思います。

この物語はデーターベースでは、

恒星タウ・セティをめぐる二重惑星アナレスとウラス―だが、この姉妹星には共通点はほとんどない。ウラスが長い歴史を誇り生命にあふれた豊かな世界なら、アナレスは2世紀たらず前に植民されたばかりの荒涼とした惑星であった。オドー主義者と称する政治亡命者たちがウラスを離れ、アナレスを切り開いたのだ。そしていま、一人の男がアナレスを離れウラスへと旅立とうとしていた。やがて全宇宙をつなぐ架け橋となる一般時間理論を完成するために、そして、ウラスとアナレスの間に存在する壁をうちこわすために…。ヒューゴー賞ネビュラ賞両賞受賞の栄誉に輝く傑作巨篇。


とあり、この第一章では、アナレスのウラスに旅立った科学者シェヴェックが、アナレスの宇宙港からウラスへ行く宇宙船の中の出来事を描いていた。
といよりウラス側としては、キモウ医師に世話を一任し、その他の乗組員に接触させないようにと、シェヴェックが感染してはいけないということでのワクチンを打つ為だった。
そうこうするうちにウラスに着き、歓待を受け辟易し、シェヴェックは漸く自室に入るところまでが、ここでの内容だった。

アナレスは苛酷な環境であるが、男女平等である社会で、女性の対等な社会進出が出来ていないようなウラス側のキモウ医師と早速シェヴェックは、意見を闘わす。
この後の波乱を予想される幕開けですね。

自室に着いたシェヴェックは、こう宣う

・ あなた方はアナーキストを手にいれたわけだ。彼をどうするつもりです?