メイド刑事(デカ) 早見裕司 GA文庫
けったいな題名の小説を読んでみた。
これは、スケバン刑事とかのメタ小説じゃないかと思ったけど、やはりそうみたいだ。
この本に収められている3話の中の、第1話「メイド刑事誕生!悪の汚れはお掃除します」とかは、決まり事みたいなメイドが登場し奉仕する。
この話は、裏口入学を斡旋するさる名家に、メイド刑事こと葵の潜入した話。
そして、水戸黄門みたいなベタベタな解決をする。
ずっとこのような感じなのかなと思っていると、2話「ITバブルの罠! 謎の流れメイド・ニキータ」では、その題名そのままの流れメイドが登場する。(なんやその人物)
この話は、裏でネットオークションを主催しているらしいIT長者宅に潜入する話。
ここでは、変態長者とかのメイド、萌えるという概念とかが語られていて、パロディとしても興味深かったね。
そして第3話「暴かれた過去また過去! 霧の港に別れの歌」。ここでは、葵の過去がレディースのヘッドであることが語られ、その後を継いだ後輩の為に、葵が人肌脱ぐというもの。
これはもう正統派メイドもの(そんなのあるのか)ではなく、熱い話が語られている。実は葵さん熱血派だったのだ。
この物語は、こういうものじゃないかと思っていたものと微妙に違っていたのは、嬉しい誤算だったね。
いろいろ抜き出してみると
・高い白い襟を大きな飾りで留め、裾の長い、フリルのほとんどないエプロンドレスを着て、後ろをリボン状に結ぶと、かわいらしさが強調された。長い髪をきちんと結い上げてピンでまとめ、軽いギャザーの入ったカチューシャを付ける。
メイドさんはこうでなくちゃね。
・あたしは、お客様が食べきれないような量を決してお出ししやしない。ご主人様はあんなやせていらっしゃるのに食欲は盛んだ。食欲のない人間に、政治や何らかの激務は務まらないよ。
メイドの葵さんの観察は鋭いのだ。
・「あの………。「もえ」、とはなんなのでしょうか?」
という葵さんの質問に対して、塚越は、
「そうね。分かりやすく言えば、相手を人格としてではなく、キャラクターとして熱狂的に愛する、ということかしら。おたく用語だけど、最近はふつうの人間も使うわ。つまりあなたは、眼鏡っ子という属性が買われたのよ。」
ふぅーん
・人生のつけ、ってやつは、勘定書が回ってくるまで分からないのさ。本当にはね
17歳の葵さんが吐くには、おじんくさくないですか。
・あたしはね、紅。愛だの恋だのそんなヤワなもんじゃない、心から尊敬する人のためなら、道を踏み外さない人のためなら、全てを投げ出してなんの見返りもいらない、そんな生き方を教わったのさ………
メイドとはかくありたいものですね。
・ううん、葵さん。今のあんたは、昔のあんたじゃない。なんか、もっと大きなものを背負ってる。あの頃より、ずっとでっかく見えるよ。
熱い話だし、どんどん葵さんとんでもない人になっているね。
自分の好き度は、7くらい。いろんな面で楽しめる物語だが、対象がちょっと上の人向きなのかも。中森明菜とか、工藤静香は、今の青少年聴くのかな